法務部へ年収アップを狙って転職したい場合、十分なスキルや経験に加え本人の対応能力が求められます。そのため、法務部への転職は難しいと言うのが一般的です。
ただ、経験が少ない人や未経験の人でも転職できないわけではありません。
ここでは、法務部ではどのようなことをするのか、転職に必要なスキルや経験、資格などについて詳しく紹介します。
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法務部への転職は経験者でも難しいと言われることもあります。ここでは、法務部の業務内容や難しいと言われる理由について紹介します。
法務部では、会社を経営するにあたって法的な対応全般を担います。
法的な対応というと裁判などを考えるかもしれませんが、実際は日々の取引で使用する契約書や社内規程の作成・チェックなどの書類作業も法務部の担当です。その他にも、以下のようなことが法務部の業務内容に含まれます。
社員や取締役からも相談を受けることも多く、会社の経営や安全性に大きく貢献できるポジションです。
法務部では、法的知識に加え業界知識など高い専門性と実務的なスキル、急なトラブルに対応できる柔軟性など多くのことが求められるため、経験者であっても転職が難しいと言われています。
また、他の業種と比べ求人数が少ないのも転職が難しいと言われる理由の1つです。例えば、大手転職メディアであるdodaでは、営業職の求人件数が42,085件に対し法務の求人は1,594件しかありません(2023年5月現在)。小さいパイを複数人で取り合うことになるため、意欲はあっても企業の求めるスキルや経験がないと、書類選考で落とされてしまう可能性が高くなります。
法務部への転職では多くのスキルを求められます。その中でも、以下の6つのスキルはほぼ必須といっても過言ではありません。
ここでは、各スキルに対し具体的にどのような事ができればいいのかなどについて紹介します。
法務部に所属する以上、法的な知識は欠かせません。必ずしも弁護士などの資格が必要なわけではありませんが、法学部卒業など司法試験を目指していたバックグランドが求められます。また、法律は年々変わっているため、どのように対応しているのかなども確認されることがあります。
契約書のレビューやドラフトの作成は、一般的にどのような企業でもマストなスキルとなります。契約書のレビュー・ドラフトの作成能力ではただ書類を作成できれば言い訳ではありません。
会社の利益や将来発生する可能性のあるリスクを考え、自社が不利にならないような作成が求められます。そのため、ビジネス知識や業界の動向、将来を見通す力など複合的なスキルが必要です
また、会社の公式HPなどのプライバシーポリシーや個人情報の取り扱いなどに問題がないかを確認するのも法務部の業務です。このように、オンライン・オフラインに関わらず書類作成能力が問われます。
実際にどのような業務を担当するかは会社にもよりますが、社内社外とコミュニケーションをと実際にどのような業務を担当するかは会社にもよりますが、法務部の業務では社内や社外と綿密なコミュニケーションをとりながら進めていくケースがほとんどです。
契約書の作成にしても、会社同士の関係や入れておきたいことなど細かく打合せする必要があるでしょう。
そのため、円滑なコミュニケーションをとるのが難しい人やできるだけ人と関わらず黙々と業務に打ち込みたい人は不採用になる可能性が高いでしょう。
法務部では、突然発生する風評被害や従業員の不祥事などのトラブルにも慌てず柔軟に対応していく能力が求められます。
急なことに対しても冷静でいられるか、会社の将来を踏まえ法的な観点から意見が出せるかといったことが求められます。特にコンプライアンスやリスクマネジメントを業務内容の中心としている求人では、より強く求められる必須スキルです。
企業によって差がありますが、求人を比較していくとおおよそTOEICで600〜800程度の語学力が募集条件として記載されています。
もちろん、業務内容によっては歓迎スキル程度になることもありますが、法務部への転職でより年収をアップさせたい人や外資系・大手企業に就職したい人は語学力を求められます。
また、企業によっては英文契約書のレビューやドラフト作成などのスキルが必須なケースもあります。
業界ごとで適用される法律や発生するリスクの内容が異なるため、業界未経験歓迎という求人もありますが、基本的に転職先への業界知識が必要になります。
企業によっては、業界に一定の在籍期間が必須条件になることも珍しくありません。
強い希望がないのであれば別業界の法務部へ転職するよりも同じ業界の法務部へ転職した方が転職の成功率を上げることができます。
必須ではないものの、採用されやすくなったり収入が上がる歓迎条件があります。すでに法務を経験している人は、以下のような経験があるといいでしょう。
近年ではコンプライアンスやネット上での風評被害防止への対応に力を入れている企業も多く、求人でも業務内容がコンプライアンス研修やリスクマネジメントと記載されていることがあります。
そのため、企業法務やコンプライアンス実務経験は就職の幅を広げ優遇されやすい業務経験と言えるでしょう。
今すぐの転職を考えているわけではないのであれば、在籍中の会社でコンプライアンス実務経験をはじめ、好条件で転職できるような経験を積むことをおすすめします。
法務部の転職に必須の資格はありませんが、持っておくことで有利になる資格がいくつかあります。ここでは、法務部への転職で有利な資格を紹介します。
法務部への転職で有利になるのは、弁護士・司法書士・行政書士といった法律関連の国家資格です。
特に、法律業務全般に対応できる弁護士資格は、ほとんどの企業で歓迎条件に入ってますし、会社によっては必須条件の1つになることもあります。
各資格でできることや合格率は以下の通りです。
弁護士 |
司法書士 |
行政書士 |
|
対応内容 |
法律業務全般 |
法律関連の書類作成、登記など |
公官庁に提出する公的な書類の作成など |
合格率 (令和4年) |
45.5% (3,082→1,403) |
5.2% (12,727→660) |
12.13% (47,850→5,802) |
受験資格 |
司法書士予備試験への合格、もしくは法科大学院を修了 |
なし |
なし |
合格率としては、弁護士が一番高いように見えますが、受験するまでのハードルが高いのも弁護士です。働きながら資格を取りたいのであれば、司法書士や行政書士の方が挑戦しやすいと言えるでしょう。
知的財産管理技能検定は、国家資格の1つで取得することで知的財産の管理や活用に精通していることを証明できます。
知的財産は会社にとって大きな財産であり、ブランドでもあります。そのため、他社から侵害されないように適切に管理することはもちろん、活用することで新しいビジネスモデルの創出をすることが可能です。また、会社が知らないうちに知的財産を侵害することを抑制するため、リスクマネジメントの場でも活躍できる資格です。
ただ、受験資格に知的財産に関する実務経験が必要になり、各級によって年数が異なります。実務経験を免除するには、条件を満たす大学を修了するか、民間資格であるビジネス著作権検定の上級に合格する必要があります。
弁護士などの国家資格を取得するのに時間の確保や勉強面で不安がある場合、民間資格であるビジネス実務法務検定がおすすめです。
1〜3級まであり、1級を取得できれば、ビジネス全般に通用する法律実務を備えていryことが証明でき、法的なトラブルが起きた時、正確で高度な判断ができると評価されます。
もちろん一定の勉強が必要なうえ、3級から受験していく必要はありますが、試験資格はなく3級では80%以上の合格率を誇るため始めやすい資格ともいえるでしょう。
ビジネスコンプライアンス検定は、健全な企業(組織)活動を推進するために必要となるコンプライアンス経営(法令・ルール・倫理等)およびビジネスパーソンとしてのコンプライアンス行動(法令・ルール・倫理等)について、その理念と目的の理解度、価値判断基準、および個々のビジネスシーンにおける対応能力を認定します。
受験資格は時に定められていないため、誰でも受験可能です。コンプライアンスをメイン業務として取り扱っている企業に行きたい人には特におすすめの資格です。
今までTOEICを受けたことがない人や受けたもののあまり結果が良くなかった人は、スコア800以上を目指してみましょう。
国際化が進む昨今では、ますます語学力が求められています。英語が身につけば外資系や海外との取引が発生する求人にも応募することが可能です。
最近は無料で使える教材サイトや対策アプリが豊富ですので、挑戦しやすい資格といえるでしょう。
スキルや経験に不安がある場合、その企業の法務部が求めている人材であることをアピールできれば書類選考でも面接でも好印象を残せるでしょう。多くの求人では、求める人材として以下のようなことが記載されています。
過去の経験を踏まえ「前職では法改正の後、すぐに情報収集をし勉強会を主催した」「前職ではSNSの使い方について、何度も講習を担当していた」などと、しっかり言葉でアピールしていくことが重要です。
経験者でも転職の難しい法務部ですが、未経験でも転職することは可能です。実際に未経験歓迎の求人も掲載されています。
誰しもが反対するようは転職を得て、未経験の企業法務の世界に入ったんですが楽しすぎるね!たまらん。
— ピスタチオ太郎 (@dancing_alone83) September 30, 2016
転職して未経験から法務部員になり早1ヶ月。初めてのことに挑戦したり、目の前の出来ることをこなしているうちにあっという間に過ぎた😵💫勉強しないといけないことがたくさんある!焦らずコツコツ頑張りたい✍🏻
— tsubomi (@md2bo3) July 29, 2022
ただし、未経験から転職したい人は徹底した対策や準備期間が必要になるでしょう。ここでは、法務部未経験者が転職を成功させる場合にすべきことについて紹介します。
資格は必須ではないと言いましたが、経験やスキルが足りない場合は、資格を持ち少しでも自分に付加価値をつけることが重要です。弁護士などの国家資格は魅力的ですが、難易度が高く勉強期間も長くなるため、まずはビジネス実務法務検定などの民間資格の取得をおすすめします。
歓迎条件にあるのが弁護士事務所での経験です。
弁護士事務所に在籍するパラリーガルは、国家資格が必要ありません。そのため、誰でも就職できるチャンスがあります。パラリーガルが担当する法律関連の書類作成やクライアントのヒアリング、裁判所などへの手続きなどの業務は、法務部への転職で有利なものばかりです。
より多くの求人から職場を選びたい、できるだけ高い給与を狙いたい人は、すぐに法務部へ転職せず、一度弁護士事務所で経験を積むことを検討してみましょう。
未経験の場合、なぜ法務部に転職したいのかを問われる可能性が高いでしょう。給与面や安定性など理由は様々だと思いますが、意欲的で前向きな理由が必要です。
たとえば「法学部出身で別の仕事をしてきたが、とある会社で法律知識を活かし会社を支える法務部の方を見て、自分も学んできた知識を活かし会社を支えるような仕事に挑戦したいと思いました」など経験や過去のできごとを絡め説得力のある理由を考えましょう。
スキルで不利な場合、その他のコミュニケーション能力や緊急事態の対応能力などの能力で補う必要があります。
たとえば、クライアントとの取引経験や急なクレーム対応経験なども好印象につなげることができます。「不採用になりにくい法務部が求める人材とは」を参考に、当てはまりそうな業務経験やスキルを洗いだしましょう。
未経験の場合、1人で進めても面接対策が不足していたり、スキルに合わない求人しか見つけられず中々転職できないなどのトラブルも多いでしょう。
法務部への転職を最短で成功させるには転職エージェントの登録がおすすめです。転職エージェントは丁寧なヒアリングで求職者のスキルに合わせた求人を探し提案してくれます。
また、キャリア相談や面接について相談できるだけではなく、自分では中々見つけられない強みや特徴、有利になる業務経験などを第三者目線から教えてもらうことができます。
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