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法務部の転職
更新日: 2022/11/27
公開日: 2022/11/27

法務の平均年収は約550万円!他職種との違いや年収を上げる効果的な方法

法務は管理部門の中でもとくに専門性が高い職種ですが、年収はどれくらいなのでしょうか?

また、法務人材が今よりも年収を上げるにはどんな方法が効果的なのか、この記事では法務の年収に焦点をあて、平均年収や他職種との年収比較、年代別比較などを行います。

法務の年収がどんな要素で変動するのか、年収を上げるにはどうすればよいのかも確認しましょう。

法務職の年収はどのくらい?

企業の法務部で働く人たちの年収はどれくらいなのでしょうか?複数のデータを元に平均的な年収を確認しつつ、他職種との比較や年代による比較も行います。

法務職の平均年収

求人ボックスによると、法務の平均年収は549万円です。月給換算すると46万円、初任給は22万円程度が相場となっています。


引用元:求人ボックス給料ナビ|法務の仕事の年収・時給・給料

また転職会議が投稿から算出したデータによると、法務の年収は全世代平均で573万円です。

上記の平均年収とほとんど大差ない数値となっており、法務の年収はやはり550万円前後だといえます。ただし、最高1,200万円、最低は204万円と人によって大きな差があることも分かります。


引用元:転職会議|法務の年収まとめ (給料/平均年収/企業名などを集計)

さらに、転職サイトなどで実際に掲載されている法務の求人を見ても、400万~700万円の求人が多く見られました。企業ごと、役職や年齢ごとで違いはあるものの、法務の年収はおおむねこの範囲で収まっているようです。

ほかの管理部門との年収比較

法務は管理部門(バックオフィス)に所属する職種なので、ほかの管理部門の職種と比較してみましょう。求人ボックスと転職会議のデータからまとめました。

  1. 一般事務:328万円
  2. 総務:371万円 
  3. 経理:413万円 
  4. 財務:523万円
  5. 人事:523万円
  6. 経営企画:524万円 

この中で法務の平均年収に近いのは財務・人事・経営企画です。とくに財務と経営企画は管理部門の中でも専門性が高い職種と位置づけられており、転職難易度や年収が高いことでも知られています。法務も管理部門の中で専門性が高い職種のひとつなので、財務や経営企画と同様に年収が高い部類に入るでしょう。

会社員全体との年収比較

民間給与実態統計調査によると、給与所得者の平均給与は433万円でした。男性の平均は532万円、女性は293万円です。

参考:国税庁|令和2年分民間給与実態統計調査

法務職の年収を会社員全体と比べてみると、平均よりも高いことが分かります。100万円以上の差があるので、一般的な会社員の中では稼ぎやすい職種に分類されるでしょう。

企業内弁護士の年収

ここまで紹介した法務の年収は、基本的に法務スタッフの年収です。法務にはスタッフのほかに企業内弁護士もいます。企業内弁護士は近年、人気が高まっている働き方です。

日本組織内弁護士協会が実施したアンケートによると、企業内弁護士の年収でもっとも多いゾーンは750万~1,000万円、次が500万~750万円、次が1250万~1,500万円でした。500万~1,500万円のゾーンで全体の7割近くを占めており、企業内弁護士の年収相場がこのあたりであることが分かります。
参考:日本組織内弁護士協会|企業内弁護士に関するアンケート集計結果(2021年3月実施)

企業内弁護士の給与形態は企業によって、法務スタッフと同じ給与テーブルが適用される場合と、弁護士独自の給与テーブルが適用される場合があります。後者の場合、基本的に法務スタッフよりも高くなることが多いと考えられます。弁護士資格の難易度や業務内容などが関係しているでしょう。

年代別で見た法務職の年収

法務職の年収は年代による違いがあるのでしょうか?年代別の年収も確認してみましょう。

20代法務職の平均年収376万円

20代の法務の年収は、20代前半が平均376万円、後半が473万円でした。

20代前半は専門性が低いとされる一般事務などと同水準ですが、20代後半になると一気に年収が上がっています。20代後半は経験年数が少なくとも3年以上あり、知識やスキルも上がってくる頃です。
参考:転職会議|法務の年収まとめ (給料/平均年収/企業名などを集計)

30代法務職の平均年収576万円

30代の年収は576万円でした。30代になるとさらに経験値が上がるため、20代に比べて年収もアップしています。また、30代になるとリーダーや係長などの役職に就く人が出てくるため、手当が増えて年収も上がりやすくなります。
参考:転職会議|法務の年収まとめ (給料/平均年収/企業名などを集計)

40代以降

40代以上の年収は722万円でした。40代以上になると管理職になるケースも多く、それにともなって年収は大幅に上がっています。
参考:転職会議|法務の年収まとめ (給料/平均年収/企業名などを集計)

ここまでの内容から、法務は年代が上がるごとに年収が上がっていることが分かります。基本的に年代が上がるほど業務経験年数も上がるので、法務は経験が評価されやすい職種だといえるでしょう。

また、法務機能を置く企業は基本的に大企業です。大企業では日本で伝統的にある年功序列制度を取り入れている企業がまだまだ多いため、こうした結果になっている可能性もあります。

法務職の年収はどんな要素で変わるのか?

法務職の年収は年齢以外にも、「役職・ポジション」「業務内容」「所属業界・企業形態」「企業規模」によっても変わります。

役職・ポジションによる違い

法務部の役職やポジションは企業によって異なりますが、スタッフ・リーダー・係長・課長・部長と昇進していくのが一般的です。役職やポジションが上がればそれにともなって責任が増え、マネジメント業務が増えるなど業務内容にも変化があります。

そのため年収にも影響があります。法務課長クラスになると800万円以上、法務部長クラスになると1,000万円以上稼いでいる人が少なくありません。

企業によってはCLO(最高法務責任者)と呼ばれるポジションがありますが、この場合の年収相場は2,000万~3,000万円と桁違いに高くなっています。CLOは日本企業ではまだ一般的なポジションではありませんが、こうしたポジションがある企業へ転職することで、大幅な年収アップへの道が開ける可能性はあるでしょう。

業務内容による違い

業務内容による違いもあります。年収が高くなりやすい業務は、たとえば知的財産権や国際法務などです。専門性と求められる能力水準が高いため、年収は上がります。

また、ベンチャー企業などで法務立ち上げに関わる場合も年収が高くなります。法律的な知識だけでなく実行能力や推進力、高いコミュニケーションスキルなどが必要なので、高年収を提示して人材を獲得する企業が多いためです。

所属業界・企業形態による違い

自社が所属する業界や企業形態による違いもあります。とくに業界は年収を決定づける大きな要素です。業界によって年収水準がまったく異なります。年収水準が高い業界は金融やコンサル、製薬業界などです。

成長産業のIT業界も比較的高い年収を得やすい業界です。また外資系の法務は上級レベルの英語力や国外法の知識などが求められるため、年収水準は高い傾向にあります。

一方、サービス・飲食業界は年収水準の低さが問題となっており、法務も例外ではありません。

企業規模による違い

基本的には企業規模が大きいほど年収水準も上がります。とくに大手企業の管理職になると、扱う案件の規模も大きく業務内容が専門的になるため、高い能力が求められます。年収も上がりやすいでしょう。

狭き門なので誰でもなれるわけではありませんが、努力して目指す価値はあります。

法務職が年収を上げるために有効なスキルや経験

ここからは、法務が年収を上げるために有効なスキル・経験について解説します。今の職場で年収を上げたい場合はもちろん、転職して年収を上げたい場合にも身につけておくと有利になる可能性があります。

語学スキル

法務に語学スキルは必須ではありませんが、グローバル企業で働く場合は有効なスキルです。英文契約書の作成やチェック、海外支店や海外取引先とのやり取りなどの場面で語学力を発揮できます。年収アップを目指してグローバル企業の法務部へ転職するなら、TOEIC800点以上が評価の目安となるでしょう。

ITリテラシー

IT・デジタル技術はすさまじいスピードで発展しており、企業の成長に欠かせないスキルとなっています。ITリテラシーには、ITツールを理解・操作するスキルのほかに、ITシステムを使った個人情報の取り扱いなども含まれます。

法務でもITリテラシーの高い人材が求められているため、高年収に期待できます。たとえば自社でITツールを導入する際には、法務が法的な観点からどんな問題があるのかを検証することで、他部署が安全にツールを使えるようになります。

社内で立ち回る力

法務が年収を上げるには社内で立ち回る力も必要です。厳しい現実ではありますが、社内政治力がないと昇進・昇格できないケースも多いからです。ポジションによって年収が変わる以上、実務で必要な知識やスキルだけでなく、こうした力も必要になるでしょう。

法務部の立ち上げやマネジメント経験

法務部の立ち上げやマネジメント経験は、転職する場合に有効なスキル・経験です。立ち上げやマネジメント経験を歓迎する求人が多い一方で、こうした経験を持つ法務人材は少ないため、高年収での転職が実現する可能性もあります。

法務職が年収を上げる具体的な方法

法務が今よりも年収を上げるには以下の方法があります。

まずは社内規程を確認する

まずは社内規程を確認しましょう。たとえば賃金規程にはどんな資格があると資格手当がつくのか、給与・賞与計算の根拠など賃金に関する情報が記載されています。ほかには人事考課のための評価ルールや考課の対象となる条件等が記載されている場合もあります。

社内規程は総務や人事担当者以外はあまり見ない人も多いのですが、就業規則の一部なので、誰でも簡単に確認できるように周知されています。努力の方向性を確認するという意味でも、まずはチェックするとよいでしょう。

社内で管理職を目指す

管理職を目指すことは年収を上げるための現実的な方法です。管理職手当は数万円単位で支給されるケースが多いため、年収アップに直結します。そのためには、専門的な知識やスキルを磨くだけでなく、コミュニケーションスキルや社内政治力なども身につける必要があります。

なお、管理職の中でも労働基準法41条に定められた管理監督者に該当する場合、労働時間や休日の規定が適用されないため残業代や休日手当が出ません。法務職であればご存じのはずですが、管理監督者の該当性や現在の残業状況を踏まえて実際に年収が上がるかどうかは把握しておくとよいでしょう。

資格手当が付くなら資格取得も方法

資格手当が付くなら、法務関連の資格を取得するのもひとつの方法です。資格手当の相場は資格の種類や企業によっても異なりますが、5,000円から5万円が目安となります。資格の合格を目指す場合、勉強を始める前に賃金規程で資格手当がつくかどうかを確認すると確実でしょう。

手当が付くかどうかは給与担当者や人事部の主観で決まるわけでなく、あくまでも規程にもとづき決定されるためです。

法務職で資格手当が付く可能性がある資格は、ビジネス実務法務検定や弁護士資格などが挙げられます。とくにビジネス実務法務検定は合格しやすい検定なので、自己研鑽のために勉強してみてもよいでしょう。

一方、弁護士資格(司法試験)はご存じの通り超難関資格なので、単に年収を上げたいという理由だけで目指す性質ではないかもしれません。

転職する

転職するのも年収を上げるために効果的な方法です。今よりも年収水準の高い企業や、今よりも高く評価してくれる企業へ転職することで、確実に年収を上げることができます。

とくに年収水準が高い業界への転職が実現すると、年収が大幅に上がる可能性があります。

コンプライアンスの強化などを背景に法務のニーズが高まっています。優秀な法務人材は辞める人が少なく転職市場にあまり出回らないため、高い年収を提示してもらえる可能性もあるでしょう。

年収アップに向けた転職を検討中ならスカウトサイトや転職エージェントに相談

年収アップを実現するために転職をお考えの方は、まずは転職エージェントに相談することをおすすめします。その理由は以下の通りです。

現在の年収が適正かどうかを判断できる

法務の年収相場は約550万円ですが、年齢やポジション、業務内容などによっても異なるため自分の年収が適正かどうかの判断は難しいものです。法務の転職に詳しい転職エージェントに相談すると、複数の要素をもとに現在の年収が適正かどうか判断してもらえます。

仮に転職を迷っている場合、自分の経験やスキルでの適正年収を大きく下回っているのなら、転職の後押しになるかもしれません。反対に、経験・スキルレベル以上の年収を得ているのなら、転職を思いとどまるのも悪いことではありません。こうした判断をするためにも、適正年収を知っておくのは有益なことです。

高年収の非公開求人を紹介してもらえる

法務の募集では、人事戦略の観点や応募者の殺到を避けるために、求人を非公開にする企業が少なくありません。非公開求人には重要ポストや高年収の求人が集まっているため、応募先を探すなら非公開求人を含めて探すことが大切です。

非公開求人への応募は転職エージェントを経由した場合のみ可能です。質の高い求人に応募するためにも、転職エージェントを利用する価値は高いといえます。

選考通過の確率を上げるためにサポートしてもらえる

法務部門への応募者は法務経験者や弁護士有資格者など総じてレベルが高いです。優秀なライバルたちとの争いになるため、選考通過の確率を上げるために対策する必要があります。転職エージェントを利用すると、応募書類の添削や面接対策など選考通過率を上げるためのサポートをしてくれます。

経験・スキルの整理方法やアピール方法など実践的なアドバイスも受けられるため、ぜひ利用したいサポートです。

実際に応募するときは、応募先へのプッシュや面接時のフィードバックをしてくれる場合もあります。ほかの応募者と拮抗している場合には、転職エージェントの一押しで内定を獲得できることもあり得るでしょう。

また、仮に不採用になっても、どこがだめだったのかなどをフィードバックしてもらえます。自力での応募の場合はこうしたフィードバックは受けられませんが、転職エージェントを介することでフィードバックを受けられ、次の応募に活かすことができます。

年収や条件交渉をしてもらえる

内定を獲得した後も、転職エージェントのサポートは継続します。具体的には年収や条件交渉、入社日交渉などがあります。こうした交渉は自分でするのは難しく、なかなかうまくいかないケースが多いでしょう。

しかし人材領域に詳しい転職エージェントが行う客観的な交渉であれば、年収や条件アップにつながる可能性があります。ご自身の経験やスキルを最大限に評価してもらうためにも、年収や条件交渉について相談してみることをおすすめします。

法務職におすすめの転職エージェント3選

最後に、法務職が転職する際におすすめの転職エージェントを3社紹介します。

NO-LIMIT(ノーリミット )

法務人材と弁護士に特化した転職エージェントです。運営元の株式会社アシロはリーガルメディア関連事業やHR事業などを展開しており、法律業界に対する造詣が深い企業です。法務部を置く企業や法律事務所からの知名度やネットワークもあるため、質の高い求人を提供してくれるでしょう。

また単なる求人紹介にとどまらず、求職者の転職に対する不安や悩みに向き合い、納得のいく転職になるようサポートしてくれます。法務へ転職を考えているのなら、まずは相談してみるとよいでしょう。

公式サイト:https://no-limit.careers/

BEET-AGENT

法務をはじめとする管理部門の転職に特化した転職エージェントです。転職支援のノウハウが蓄積されており安心して利用できます。

法務の求人も多数扱っており、上場企業など条件のよい求人が豊富です。実際に利用した人の満足度も高いので、法務の転職では利用をおすすめします。

公式サイト:https://beet-agent.com/

法務求人.jp

法務や知財人材の転職に強みをもつ転職エージェントです。法曹業界で15年以上の実績があり、弁護士の生き方や素顔に焦点を当てたヒューマン・ドキュメント誌「Attorney's MAGAZINE」も編集・発行しているため、業界事情に精通しています。

最新の業界動向を踏まえた的確なアドバイス・サポートが受けられるでしょう。条件を設定して自分で求人を探すことや直接応募も可能ですし、転職エージェントサービスを使えば非公開求人への応募もできます。自分のペースで転職活動を進めたい方に適しています。

公式サイト:https://www.houmukyujin.jp/

まとめ

法務の平均年収は約550万です。管理部門のほかの職種に比べると高い水準にあります。

年齢やポジション、所属業界などによる違いもあるため、ご自身の年収が適正かどうかをまずはチェックしてみましょう。転職エージェントに相談すると年収の適正判断やキャリア設計のサポートなどが受けられます。

この記事の執筆者
キャリアアドバイザー
佐藤 えりな
管理部門特化の転職支援サービス『BEET』のキャリアアドバイザー。経理財務、人事労務、法務職の方の転職支援を強みをもっており。士業資格者の転職支援実績と、事業会社の両軸サポート実績多数。面談マン独度、求人マッチング精度に定評がある。