KNOWLEDGE
経理/財務の転職
更新日: 2023/01/12
公開日: 2023/01/12

将来有望な財務の転職を成功させるポイントは?必要なスキルや資格も!

企業環境を取り巻く環境が激しく変化する現代、企業がビジネスの方向性や財務戦略を定めるのに優秀な財務人材は喉から手がでるほど欲しい存在です。そのため財務の転職市場は売り手傾向が続いており、好待遇の求人も多くあります。転職を考えている財務人材にとってはよいタイミングだといえるでしょう。ただし、財務は仕事内容が難しく、必要とされる能力やスキルも広範におよぶため、転職の難易度は高めです。 この記事では財務の転職をテーマに、財務の転職事情や求められる能力、転職を成功させるためのポイントについて解説します。

財務の転職事情

最初に、財務の転職事情について解説します。

コロナ禍でも求人は安定してある

財務は1年を通じて大きな振れ幅なく、安定して求人があります。特に近年は国際競争の激化やデジタル化の波、新型コロナウイルス感染症拡大など企業を取り巻く環境はめまぐるしく変化しており、経営戦略の策定にあたり財務の力がいっそう重視されています。そのため財務部門の強化に取り組む企業が増えており、優秀な財務人材は引く手あまたです。 とはいえ大量募集することはまずない職種なので、1社あたりの募集枠は少なく、少ない枠をほかの応募者と取り合う形となります。

好待遇の案件が多い

財務は高度な専門性が求められるうえに会社の将来のお金に関わる重要なポジションなので、転職市場では好待遇の案件が多いのが特徴です。管理部門の中でも将来の幹部候補が集まるエリート集団と位置づけられていることもあり、待遇はほかのバックオフィス系職種と比べて破格ともいえるケースが少なくありません。 また資金調達や予算編成、財務戦略などが主要業務なので、基本的には拡大・成長企業でニーズがあります。資金力がある企業も多いので、高年収での転職にも期待できます。

財務の求人を出しているのは大手とベンチャーが中心

財務は大手企業やベンチャー企業を中心に募集があります。大手は財務と経理業務を明確にわけているケースが多く、独立した財務部門が存在します。応募条件が厳しいなど転職のハードルは高いですが、年収・待遇には期待できるでしょう。 ベンチャー企業は管理部門の専門家を招聘する目的や、上場準備のために財務の募集をかけるケースが多いです。ただし、経理や総務などほかの管理部門系職種との兼任が多いため幅広い業務を行う覚悟が求められます。 また企業以外だと、「財務コンサルタント」という職種で税理士法人などが求人を出しているケースもときどき見られます。この場合は税理士や公認会計士の応募を想定しているケースが多いので、まずは応募条件をクリアできるのかという点は確認が必要です。

キャリアアップのための転職希望者が多い

財務の転職理由としては、キャリアアップを目指すための転職が多いのが特徴的です。具体的には、経理経験を積んだので財務に挑戦したいという方や、大手企業の求人が中心なので企業規模を上げたいという方が多く見られます。また、拡大方針の企業でニーズがあるので、将来的にも有望な企業が多く、将来性のある企業に転職したいという求職者からのニーズもあります。

金融機関出身者が優遇される場合もある

財務は金融機関との折衝業務があるため、金融機関出身者であれば財務未経験でも有利にはたらく場合があります。メガバンク出身の若手なら財務のスタッフクラスとしての採用にも期待できます。投資家対応(IR)での活躍を期待される場合は投資銀行からの転職が有利です。

財務の転職は経理よりも難しい?

財務は経理と混同されたり比較されたりすることが多い職種ですが、両者の業務内容は異なります。経理は過去のお金の流れややり取りに対する業務が中心であるのに対し、財務は予算編成や財務戦略の策定など企業の将来を見据えたお金に関する業務が中心です。基本的に、財務は経理の上流の仕事であると考えてよいでしょう。 転職事情も異なります。一般的には、財務の転職は経理よりも難しいといわれるケースが多いです。その理由を確認しましょう。

そもそもポジションが少ない

まず、そもそも財務はその会社にポジションがあるのかという問題あります。特に中小企業は財務ポジションや財務部署がないケースが大半です。経理課長クラスが兼任しているケースや、「経理・財務」という兼任ポジションの募集が多いでしょう。資金繰りに関しては経営者にのみ決定権がないという場合も少なくありません。中小企業をターゲットにした場合、財務だけに専念したい方は求人が見つかりにくい可能性があります。

即戦力の実務経験者が有利

企業は財務に対して即戦力を求めているので、実務経験者が圧倒的に有利です。経理も経験者有利ですが、財務の場合はより顕著だと考えてよいでしょう。応募条件として実務経験年数が設定されているケースも多いので、応募条件をクリアできる求人を探すことが必要です。

求められる要素が多いから転職難易度は高め

財務は企業のお金を扱うことから経営の行方を左右するほど責任が重く、仕事内容も難しいポジションです。それゆえに、求められる要素が非常に多く、転職難易度は高い職種に分類されます。 知識や経験、スキルはもちろん、経営者的な視点や信頼性・倫理観が高い人物かどうかも慎重にチェックされます。応募の際には難易度の高い筆記試験が実施される場合もあり、経験者であっても苦戦するケースが珍しくありません。

難易度高めの財務転職を成功させるために必要なスキル

難易度が高い財務への転職を成功させるには、どんなスキルや能力が必要なのでしょうか?

ファイナンスをはじめとする幅広い知識

前提として、ファイナンスや簿記などの知識は必須です。財務諸表を理解する知識や能力、会社法や法人税法などの法律の知識、投資に関する知識など実に広範な知識が求められます。

分析的思考力

財務には財務諸表などの資料や各種データを読み取り、分析して自社の課題を明確にし、さらに財務戦略の策定や経営陣の意思決定をサポートことが求められます。分析的思考力が必要です。

課題解決能力

分析から見つけた課題を、実際に解決する能力や施策を提案する力が必要です。分析結果をもとにどのような経営判断を行うべきかを経営層に進言したり、どの部門に投資すれば企業の成長につながるのかを判断したりします。

論理的な説明力や交渉力

財務の重要な業務のひとつに、銀行関係者との交渉や資金調達、経営陣や各部署の長に対して財務戦略を理解してもらうための説明などがあります。投資家に対して自社の価値を的確に伝え、投資してもらうのも財務の重要な業務です。これらの業務を遂行するには論理的な説明力や交渉力、高度なコミュニケーションスキルが求められます。

リーダーシップ

財務は部門全体を見渡し、プロジェクトの進行を監視する役割もあります。また、買収案件のサポートやこれに関する資金調達など個別のプロジェクトに参加する場合もあります。受け身ではなく自発的に取り組む姿勢が求められるため、スタッフクラス・管理職ポジションにかかわらずリーダーシップが必要です。

財務の転職を成功させるのに資格は必要?

専門性が高い財務への転職を成功させるために、資格の取得を検討している方もいることでしょう。財務への転職と資格の関係について解説します。

財務は公認会計士などの専門職から人気

財務は財務諸表をもとに業務を進める場面が多いため、財務諸表を読み解く力のある公認会計士や税理士などの専門資格をもつ人から人気がある職種です。そのため転職活動の際には、これらの専門職の人たちとの競争も勝つ抜く必要があります。

資格がなくても転職できる

財務は士業や専門職のように資格がないと就けない仕事ではありません。無資格でも財務経験があれば問題なく転職できます。とはいえ、財務は仕事内容の難しさや責任の重さなどから勤勉な人に適性がある仕事でもあります。そのため資格の取得に向けて勉強をしている事実はプラスに働くでしょう。

財務としてもっていて損はない資格

簿記2級や経理・財務スキル検定(FASS)などは、財務の仕事をするうえで最低限必要な知識を学べるのでもっていて損はない資格です。特にFASSは実務レベルの技能を証明できる検定として、近年注目を集めています。またグローバル企業や外資系企業への転職を検討する場合はTOEICが少なくとも700点以上あるとよいでしょう。 ただし、どちらかというと財務としての前提的な知識や技能をアピールできるのにとどまる資格・検定なので、これだけで評価されて転職を成功させられるわけではありません。

財務の転職で評価される資格

一方、財務の転職で評価される資格もあります。公認会計士や税理士、USCPA(米国公認会計士)、簿記1級などです。財務への転職にこれらの資格は必須ではないものの、高度な知識・スキルを客観的に証明できる資格なので十分なアピールポイントになります。応募できる求人の選択肢も広がるでしょう。 もっとも、これらの資格は難易度が高いため、財務へ転職するために取得するというのはあまり現実的ではありません。もともとこれらの資格を持っている人が財務を選ぶというのが自然です。

資格もいいが実務経験を積むことがより重要

紹介した資格があって損することはないですが、財務は実務経験が重視される職種です。資格の勉強に取り組む姿勢は評価されることですが、転職を成功させるという観点からは、資格の取得のみに注力するよりもどうしたら実務経験を積めるのかを考えたほうがより建設的です。たとえば中小企業の経理なら財務と兼任できる場合もあるので、まずはそうしたポジションを狙うのも方法です。

財務の転職を成功させるポイント

最後に、財務の転職を成功させるためのポイントをお伝えします。

経理業務との違いをしっかり理解しておく

まず、経理と財務との違いをしっかり理解しておきましょう。これにより、業務内容のミスマッチを防ぎます。財務経験者であれば理解しているはずですが、経理経験を活かして財務へのキャリアアップを目指している方は業務内容の違いをしっかり理解しておくことが大切です。

転職活動は長期戦を見据えて焦らないこと

財務経験者の場合、フィットする求人があれば3ヶ月以内など比較的早い段階で転職できるケースもあります。しかし財務は求人自体が少ないので、合う求人が見つからなければ転職活動は長期化します。場合によっては半年近くかかる場合もありますが、焦らないことが大切です。自分に合う求人が出たらすぐに応募できるよう、コツコツと準備しておきましょう。

求人が増えやすい時期を狙うと選択肢が広がる

財務の求人は多くありませんが、繁忙期の2~3ヶ月前に財務の求人が増えやすくなるため、その時期を狙うことでより多くの求人の中から探すことができます。よくある3月決算企業の場合、財務の繁忙期は4~6月です。決算書の分析等で4~5月にかけて忙しいのと、5~6月も株主総会向けの資料作成・準備などで忙しいためです。したがって、年明けの1~2月頃に求人をチェックしてみるとよいでしょう。

オンライン面接の対策をしておく

新型コロナウイルス感染拡大の影響でオンライン面接を取り入れる企業が増えましたが、現在も引き続きオンライン面接を実施している企業が多数あります。面接時の目線や声のトーン、面接を受ける場所の背景や面接に使う機器のチェックなど、対面での面接とは異なる注意点が多くあります。事前に対策しておきましょう。

転職エージェントを活用する

財務は求人が多くないこと、応募のハードルが高いことなどから、自力での転職活動は難しい面があります。転職エージェントに相談しながら転職活動を進めるのがよいでしょう。求人紹介や応募書類の添削、面接対策など幅広いサポートを受けられるため転職成功の可能性を高められます。企業が財務に求める要素にも変化が見られるので、最新の転職事情や企業の動向などもアドバイスしてもらうことをおすすめします。

まとめ

財務の求人は安定してあり、売り手傾向が続いています。好待遇の求人も多いのでキャリアアップのために転職を考えている方にはチャンスが大きい時期です。ただし転職難易度は高いので、転職エージェントのサポートを受けながら転職活動を進めるのがよいでしょう。