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情報システム部の転職
更新日: 2023/01/12
公開日: 2023/01/12

情報システム部への転職は難易度高め!選考突破のコツと注意点は?

情報システム部(社内SE)への転職を考えているエンジニアは多いのではないでしょうか。デジタル化やDX化が推し進められる中、企業が情報システム部を強化する動きが強まっているため、情報システム部へ転職するにはよいタイミングだと考えることもできます。一方で、社内SEは人気職なので転職難易度が高く、希望してもなかなか内定を得られない方が多いという現実もあります。 この記事では情報システム部への転職を希望する方に向けて、転職の実現可能性を高めるポイントや注意点をお伝えします。情報システム部のニーズが高まっている代表的な業界やおすすめの転職エージェントの紹介も行います。

目次

情報システム部へ転職したい理由

まずは、エンジニアがどのような理由で情報システム部への転職を希望するのかを確認しましょう。

残業を減らしてワークライフバランスを改善したいから

ITエンジニアは高いニーズに対して人材が圧倒的に不足しているため、業務過多に陥っているケースが多数です。慢性的に残業や休日出勤が発生しており、精神的にも肉体的にも疲弊している人は多いでしょう。そのため、残業を減らしてワークライフバランスを改善したいとの理由で転職を希望する人は多くいます。とくに30代以降、家族との時間や年齢による体力の低下などを考えた場合に転職に踏み切るというパターンはよく見られます。

勤務場所を変えずに済むから

さまざまな勤務場所で働く客先常駐エンジニアと異なり、情報システム部の勤務先は自社のみです。生活スタイルが整いやすく、周囲には同僚や先輩など頼れる仲間もいます。常駐先を変わるごとに面談を受けてスキルをチェックされることもありません。客先常駐スタイルが多いエンジニアにとって、勤務場所を変えずに済むのは魅力的なことです。

納期の融通がききやすいから

SIerやベンダーのシステムエンジニアはクライアントワークなので納期がタイトな案件が少なくありません。一方、情報システム部は社内のシステム管理などを行う仕事なので、納期に関しては比較的融通がききやすいという利点があります。いつも納期に追われるとプレッシャーやストレスを感じやすく、そのような方にとって情報システム部が魅力的に映るケースが多いようです。

ユーザーと近い距離で仕事をしたいから

ユーザーと近い距離で仕事をしたいとの理由で転職を希望する人もいます。情報システム部にとって、システムを利用するユーザーは社内の人です。ユーザーとの距離感が近いことで、ユーザーに直接意見を聞きながらスピーディーに業務を進められます。また同じ社内の人の困り事を解決することで感謝を受ける機会もあり、やりがいを感じやすいでしょう。

キャリアアップしたいから

情報システム部ではIT戦略などの上流工程に携わる機会があるため、キャリアアップしたいとの理由で転職を希望する方もいます。とくにSESからの転職の場合、SESは下流工程を担当することが多いため、要件定義や基本設計などの上流工程を経験できる点に魅力を感じる方もいるようです。

情報システム部の転職事情・求人状況

具体的な転職活動に入る前に、情報システム部の転職事情や求人の状況などを確認しておきましょう。

DX推進の流れを受け、幅広い業界で必要とされている

現在、多くの企業で喫緊の経営課題として捉えられているのがDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進です。DXとはAIやIoT、ビッグデータなどのデジタル技術を用いて業務フローの改善や新しいビジネスモデルの創出、組織変革を実現させることを指します。情報システム部は経営戦略から変革までのプラン策定、デジタル技術導入の判断、実際の導入や運用などDX実現を牽引する部署として大きな役割を期待されています。 DX推進にあたり、外部サービスを利用する企業も多いでしょう。しかし外部サービスを利用する場合、情報漏洩のリスクやDXのノウハウが蓄積されないといった懸念があります。そのため、できるだけ自社の情報システム部で対応するために社内SEを採用したいというニーズが増えています。

採用ニーズがあるのは業務経験者

情報システム部で採用ニーズがあるのは業務経験者です。企業は早急なデジタル化やDX化を迫られています。経済産業省がDXレポートで「2025年の崖」として警鐘を鳴らしたように、レガシーシステムの残存した場合に競争力の低下やシステムトラブルなどITリスクの高まりなどが予測されています。

※参考:経済産業省|DXレポート~IT システム「2025 年の崖」の克服と DX の本格的な展開~

このような状況で求められているのは即戦力として活躍できる業務経験者です。IT人材はどの業界でも人手不足傾向にあるため、業務経験者は高い評価を受けるでしょう。

求人はあるが、1社あたりの募集枠が少ない

情報システム部は営業や生産などのように大所帯ではなく、もともと少ない人員で構成されているケースが多いです。また人事や総務などと同様に利益を生まないコスト部門だと捉えられがちです。SIerやベンダーのようにエンジニアを大量に募集することはほとんどなく、1社あたりの募集枠は1~2名と少なめです。

年齢は30代前半までが有利

転職する年齢は若いほど有利です。目安としては30代前半までに転職を目指しましょう。30代後半や40代になると管理職になっている人が多く、管理職の場合はスタッフと比べて求められる経験やスキルのレベルが高くなります。採用のハードルがぐっと上がるため、できるだけ若いうちに転職しておきたいところです。

40代は専門性とマネジメント経験がポイント

30代後半や40代でも転職は可能ですが、専門性とマネジメント経験がポイントになります。この年代は基本的に責任者や管理職(候補)としての募集になるため、マネジメント経験が必須です。また、マネージャーとしての役割を果たしつつ実務も担当するプレイングマネージャーとしての活躍が期待される場合が多いため、高い専門性も必要です。近年ではAIなど先端技術分野で専門性がある人材を求める企業も増えています。

情報システム部への転職難易度は高め

情報システム部への転職は、以下の理由から難易度が高めです。

人気が高く、競争が激しい

情報システム部はエンジニアから非常に人気が高く、多くのエンジニアが社内SEに転職したいと感じています。大手企業の情報システム部などでは1枠の募集に数百人単位で応募があることもあり、競争は熾烈を極めます。転職の際にはほかの優秀な応募者との競争に勝たなければならないため、転職難易度は高いです。

求人が出てもすぐに埋まってしまう

情報システム部の求人は募集枠が小さく、人気も高いため、求人が出てもすぐに埋まってしまいます。求人が公開されてから1週間程度で募集が終了してしまうケースも少なくありません。転職活動ではスピードや行動力が必要です。

年齢が上がるほど求められる要素も増える

年齢が上がると、年齢や経験に見合った給与を支払う必要があるため、企業側から求められる要素も増えます。豊富な業務経験をもとに即戦力として活躍できるのはもちろんのこと、プラスαの専門性やマネジメントスキルなどが必要となってくるでしょう。

情報システム部への転職はどんな業界が候補になる?

近年はIT業界に限らず、どの業界でも経営課題の解決にITの活用が不可欠です。そのため情報システム部が必要とされる業界は多岐にわたりますが、以下で転職先の候補となり得る代表的な業界を紹介します。

IT・Web業界

一般に情報システム部では社内システムやインフラの構築や保守・運用、セキュリティ対策などを行いますが、IT・Web業界では自社サービスの開発も含める場合があります。たとえば自社のWebサイトやアプリケーションの開発などです。自社サービス開発は通常、社内SEとは異なる職種が行いますが、社内SEが人気職であることから、人手不足の企業では応募者を集めるために自社サービス開発を社内SEとして募集するケースがあります。一般的な情報システム部の仕事とは違いがあるため、応募の際には職種名ではなく仕事内容をよく確認することが大切です。

製造業

製造業はITに強い人材が少なく業務が属人化している傾向が強いため、IT化・DX化が遅れています。しかし、ますます加速することが予測される人手不足や熟練者の退職にともなう技術の継承問題など製造業がITで解決するべき課題は多数あり、情報システム部の役割は大きいといえます。 日本のモノづくりの技術は世界的に見ても高い水準にあります。製造業の情報システム部へ転職することで、日本が誇る高度な技術の継承や発展に貢献でき、やりがいを感じられるでしょう。

医療業界

医療業界では人手不足が深刻化しており、医療のIT化や電子化は今後ますます進むと予想されます。これまでは外注で対応していた医療機関が内製化を進めるケースも増えており、情報システム部の強化や増員のための募集も出てきています。新型コロナウイルスのパンデミックを経験し、医療業界の社会貢献度の高さや重要性を改めて認識した人も多いことでしょう。医師や看護師などの医療専門職でなくても、医療業界で働くことで社会貢献ができ、大きなやりがいにつながります。

金融業界

銀行や証券会社、保険会社などの金融業界の情報システム部も選択肢のひとつです。扱うシステムは入出金を管理するシステムや顧客の契約内容を管理するシステムなど、業種によって違いがあります。 共通点としては、金融業界のシステムは規模が大きく、金銭取引や顧客の個人情報などに関わる重要なシステムであるため正確性が求められます。また、トラブルが発生したときには顧客の信用問題に関わることから迅速に解決しなければなりません。一方、社会的インフラを支えるという点でやりがいを感じられるはずです。

情報システム部の転職はここに注意

情報システム部への転職はイメージが先行して誤解も多いため、転職する際には以下の点に注意が必要です。

前職より残業が増える場合がある

社内SEは残業が少ないというイメージを抱く方が多いですが、社内SEだからといって必ずしも残業が少ないわけではありません。情報システム部に求められる役割や業務範囲は企業によって大きく異なるため、業務量が多く、前職より残業が増える場合もあります。残業の多寡は単純な部署名や職種名では決まらないこと、実際の残業時間は事前に確認しておく必要があることは押さえておきましょう。

業務内容・範囲が企業によって異なる

情報システム部の仕事内容は多岐にわたり、どこまでを情報システム部が担当するのかは企業によって異なります。また部署の人員数や会社側が情報システム部にどんな役割を期待するのかもそれぞれ違いがあります。 こうした点を理解しておかないと、転職後に業務内容のミスマッチが起こり、「思っていた仕事をやらせてもらえない」と感じかねません。たとえばIT戦略などの上流工程を経験できると思って転職した場合、実際にその業務を担当できなければ大きな不満となってしまうでしょう。業務内容や範囲は日々の業務を遂行するうえで非常に重要な項目なので転職する前に詳細を確認することが大切です。

技術力より社内調整力などが評価の対象になる場合がある

「エンジニアは技術力が評価の対象になる」と思ってスキルアップに努めてきたエンジニアも多いはずですが、情報システム部への転職では少し注意が必要です。エンジニアは技術職なので技術力が重要なのはいうまでもないのですが、情報システム部に関しては必ずしも技術力を重視されるわけではありません。技術力というよりビジネスを推進するための本質的な能力が重視されます。 たとえば情報システム部は業務を進める際に社内調整が必須です。社内にはITリテラシーが低い社員もいますが、その人たちにシステムの必要性や専門的な内容をわかりやすく伝え、協力を仰いでいく必要があり、こうした関係部署との社内調整力が評価の対象になる場合があります。情報システム部員として必要なスキルではありますが、エンジニアとしての技術力そのものではないため、このような点にギャップを感じる方がいるかもしれません。

情報システム部の転職を実現させるコツ

情報システム部への転職は難易度が高いですが、ポイントを押さえることで転職の実現可能性が高まります。

業界・企業研究を念入りに行う

業界と企業研究は念入りに行いましょう。これにより、採用担当者に刺さる志望動機や熱意のアピールにつながります。面接では最後に逆質問の時間が設けられますが、しっかり研究しておくことで的確な質問ができたり、話が膨らんだりして採用担当者の印象に残すことができます。 また、情報システム部は自社が抱える課題を解決するのが使命なので、自社の事業や業務に関する理解が不可欠です。この意味でも業界・企業研究をしっかり行うことで事業に関する興味関心が強く、志望度が高い人材だという評価につながります。

求人を見つけたらはやめに応募する

情報システム部は求人が少なく競争倍率が高いため、求人を見つけたらはやめに行動に移すことが大切です。エンジニア間で取り合いになっている職種であると理解し、はやめはやめの応募を心がけましょう。 応募の段階で熟考してなかなか行動に移せない人もいますが、実際に転職するかどうかは面接などを通じて応募先を見極めたうえで、じっくり検討しても遅くはありません。そもそも倍率が高く選考を通過できる保証はないため、とにかく行動することが大切です。

面接で具体的な実績を示す

エンジニアの面接では人事担当者がITに詳しくない場合も多く、技術力の価値を伝えにくいという難しさがあります。社内のシステムなどに関わるとはいえ、情報システム部についても同様です。 そのため面接では専門的な技術内容を話すのではなく、具体的な実績を示すことが大切です。たとえばIT資産の運用コストを削減した、システムを導入して業務効率を改善したといった実績は企業が情報システム部に求めている点と合致しやすく、評価の対象になります。外部サービスの選定や外部ベンダーとの調整を行ったなどの実績でもよいでしょう。

保有知識をアップデートする

保有知識をアップデートすることで市場価値が高まり、応募先の選択肢を広めることや、採用される可能性を高めることにつながります。転職するのに資格は必須ではありませんがスキルの対外的な証明になるため、勉強に取り組むこともひとつの方法です。 募集ポジションによってどの分野の知識を深めるのかは異なりますが、社内システムの構築担当ポジションに応募するなら基本情報技術者試験やシステムアーキテクト試験、IT戦略ならITストラテジスト試験やITコーディネータ試験などが役に立ちます。

転職エージェントを利用する

情報システム部への転職活動には転職エージェントの利用が必須です。社内SEは非常に人気が高い職種なので、転職エージェントが保有する非公開求人でしか募集を出さない企業も多く、エージェントを利用しないと自分に合う求人を見つけることすら難しい場合があります。ほかにも応募先企業の詳細情報の提供や面接における的確なアピール方法のアドバイス、年収交渉など、転職エージェントを利用することで得られるメリットは大きいです。

情報システム部の転職におすすめの転職エージェント

最後に、情報システム部への転職におすすめの転職エージェントを4社紹介します。

マイナビITエージェント

人材大手マイナビが運営するIT・Webエンジニアに特化した転職エージェントです。社内SEの求人件数が多いため自分に合った求人に出会える可能性があります。とくに20代~30代に強みがあるため若手人材の転職では利用を検討しましょう。土曜日のキャリア面談にも対応してくれるため、平日は忙しくて面談の時間が取れない方でも安心です。

※参考:マイナビITエージェント

レバテックキャリア

ITエンジニア専門の転職エージェントです。IT職種別に専門アドバイザーが在籍するなど専門性が高いのが特徴で、求職者の年齢や経験から価値を見つけ、最適な求人を紹介してくれます。レバテックキャリアはハイクラス人材向けのエージェントなので、高度なスキルや専門性、マネジメント経験を持つ方におすすめです。

※参考:レバテックキャリア

ギークリー

IT・Web・ゲーム業界に特化した転職エージェントです。業界特化型なのでIT業界などを希望する方に適しています。社内SEの求人数はそれほど多くありませんが、サポートが充実しており、利用者の満足度が高いのが特徴です。キャリアプランの相談や経験やスキルに自信がなくても丁寧にサポートしてくれるので、経験値が少ない若手人材にもおすすめできます。

※参考:ギークリー

社内SE転職ナビ

社内SEに特化した転職エージェントです。名前のとおり社内SEの求人が多いため、社内SEに狙いを定めて転職活動を進められます。インフラや開発、企画やマネジメントなど社内SEでも幅広い分野の求人があります。情報システム部を希望する方にマッチする可能性が高いため確実にチェックしておきたいエージェントです。

※参考:社内SE転職ナビ

まとめ

情報システム部はエンジニアの転職先として非常に人気が高く、ワークライフバランスの改善や安定した働き方を求めて応募者が殺到する傾向が強く見られます。内定を獲得するには、業界や企業研究を念入りに行うこと、募集がでたらすぐに応募することなどが必要です。