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管理部門の採用
更新日: 2023/05/19
公開日: 2023/05/19

経理採用を成功に導く重要なポイントは?人材を見極める方法も解説

経理は少人数で業務を回している企業が多く、経験者の絶対数が少ない職種です。またひとつの会社で長く勤めて専門性を高める方が多いため採用市場に人材がなかなか出てきません。こうした事情の中で自社にマッチする人材を獲得する必要があるため、経理の採用は難しいのが実情です。

では、難しい経理の採用を成功させるためにはどんな点がポイントになるのでしょうか?この記事では経理の採用をテーマに、採用条件の設定方法や求職者を見極める方法、求人票や面接で伝えておきたい点などを解説します。

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目次

経理の採用条件を設定する流れ

管理部門の中でもとくに重要なポジションの経理の採用は、ピンポイントで「こういう人に来てほしい」というケースが多く、採用条件の設定に工夫が必要です。そこでまずは、採用条件を設定する流れやポイントを解説します。

中途採用者に任せたい業務を明確にする

まずは中途採用者にどの業務を任せるのかをはっきりさせます。そうしないと、どんな経験がある人を採用するべきかが見えてこないため、ターゲットに的確なアプローチができません。たとえばリーダーやマネジメントをやってもらいたい場合と、スタッフとして基本的な業務に従事してほしい場合とでは、どんな人材にアプローチするべきかが異なります。

また求職者自身も、自分の経験業務と応募先で求める業務内容がマッチするかをよく見ています。

その業務に必要なスキルレベルを把握する

次に、任せたい業務に必要なスキルレベルを把握します。仕分けやデータ入力などの基本的なスキルレベルがあれば問題ないのか、決算を一人で締められるレベルは求めたいのかなどを整理しましょう。

求職者のスキルレベルは高ければよいというわけではありません。たとえば税理士や公認会計士資格の保有者から応募があれば「こんな優秀な人はぜひ!」と思うかもしれませんが、任せる予定の業務レベルと合っていなければ、物足りなく感じて辞めてしまう可能性が大です。あくまでも自社の業務に必要なスキルレベルの人を採用するのが成功のポイントです。

求める人柄や価値観を言語化する

会社のお金まわりの業務を任せる経理の採用は、人柄や価値観などの人物特性も重要な項目です。誠実で倫理観が高い人物であれば経理を任せるのに値すると判断できますし、仕事にやりがいや成長を求める価値観の人物であれば勉強や自己研鑽を続けて高い貢献をしてくれるかもしれません。

どんな人柄や価値観の人を求めるのかが採用担当者や面接官によってバラバラでは、採用基準が定まりません。求める人柄や価値観は言語化し、採用チームで共有しておきましょう。

業務内容と人物特性に合った採用条件を設定する

業務内容とそれに必要なスキルレベル、求める人物特性を明確にできたら、それに合った採用条件を設定します。企業側だけで認識しておくのではなく、しっかり求人情報に反映させることで、採用条件に合った求職者からの応募につながります。

経理求人を出すのに適した時期

よい人材に出会える可能性を高めるために、求人を出す時期を工夫する場合があります。経理求人を出すのに適した時期はいつなのでしょうか。

求職者が転職活動を開始させるのは繁忙期が過ぎてから

求職者の転職活動が活発化する時期を狙って求人を出すのがひとつの方法です。転職サイトや転職エージェントの登録者数が増えるため、自社に合った人材に出会いやすくなります。

企業の決算時期にもよりますが、経理の業務は大体6月頃に落ち着き、6月か7月に夏の賞与が支給されます。そのため、7月・8月くらいから徐々に転職活動をスタートさせる人が多いです。また、年が変わる1月や年度が変わる4月から新しい職場で働くため、11月頃、3月頃に転職活動を始める人も多く見られます。

欠員補充なら退職が決まり次第限り早めに準備を進める

求職者が転職活動を活発化させる時期を狙うのは、経理部の強化など採用をあまり急いでいないケースで有効です。基本的に経理の人材は欠員補充が多いため、すぐにでも採用したいという企業が多いのではないでしょうか。その場合、求職者が増えやすい時期にかかわらず、早めに採用活動を進める必要があります。

欠員補充は経験者を求めるケースが大半ですが、経理経験者は市場に少ないためなかなか決まらない可能性があります。もし後任者の採用に時間がかかっているのなら、場合によっては退職予定の方に退職時期を後倒しにしてもらうよう交渉しなければならないでしょう。

経理採用を成功させるためにチェックするべき3項目

ここからは、経理の採用にあたり求職者のどんな点を確認すればよいのかについて解説します。

業務経験、スキルレベル

経理は専門性が高いため、業務内容とのマッチングが非常に重要な職種です。とくに欠員補充の場合、業務経験をよく見て、自社でやってもらいたい業務にマッチするのかチェックしましょう。その業務をできるだけのスキルレベルがあるのかも確認します。リーダーやマネジメントポジションを募集するなら、マネジメント経験の確認も必須です。

コミュニケーション能力や人柄

コミュニケーション能力や人柄も重要なチェックポイントです。

経理は営業をはじめ多くの部署の人と接することになるため、コミュニケーション能力が高い人が望ましいです。また、経理部門は専門性が高いことから人員が固定化されやすいため、既存スタッフとの相性も重要です。人柄を見極め、既存スタッフと協力してやっていけそうかをチェックしましょう。

保有資格

一般に資格は採用基準として考慮しない場合が多いですが、経理に関しては知識やスキルレベルを客観的に把握するために有効な項目です。応募者数が多い場合は資格で書類通過者を決めることもよくあります。

業務経験、スキルレベルの確認方法

ここからは、「業務経験、スキルレベル」「コミュニケーション能力や人柄」「保有資格」の3項目について、確認方法を詳しく解説します。まずは「業務経験、スキルレベル」の確認方法について見ていきましょう。

前職が企業の経理の場合

経理求人への応募者の中でもっとも多いのが、前職が企業の経理だった人です。経験をダイレクトに活かせるとあって応募者の大半を占めます。この場合、以下のポイントに沿って業務経験とスキルレベルを確認しましょう。

自社と企業規模や業態が近いか

前の職場の上場区分や業種、年商などを確認しましょう。企業の経理経験者の中でも、所属先の企業規模や業態によって業務経験の内容が異なります。自社と企業規模や業態が近いほど業務内容が共通している場合が多いため、自社にマッチする可能性が高いです。

たとえば大企業の場合は業務が細分化されているため、専門性が高いものの業務範囲は狭い傾向があります。大企業の経理経験者は、広範な業務を担当してもらいたい中小企業ではフィットしない可能性が高いでしょう。反対に、中小企業の経理経験者は専門性の高い大企業の経理では戦力となれない可能性があります。

決算業務への関わり方、範囲

決算を一人で締めていたか、あるいはどこまで関わってきたのかを確認します。決算以外にどんな業務を担当していたかもチェックしましょう。

業務を外注していた割合や外注業務の種類

経理業務の一部を会計事務所などに外注する企業も多いので、外注の割合や外注業務の種類を確認しましょう。どこまで自社でやっていて、その中でどの範囲を担当していたのかを見るためです。

前職が会計事務所スタッフの場合

会計事務所のスタッフが企業の経理へ転職を希望するケースもあります。この場合は以下の点を中心に確認しましょう。

クライアント企業の経理業務に関わっていたか

会計事務所ではクライアント企業の経理業務を請け負う場合があるため、その経験の有無を確認しましょう。経験がある場合は企業の経理部の勤務経験がなくても経理業務に精通しているため、即戦力としての活躍が期待できます。

税務や助成金の知識もあるのか

会計事務所のスタッフは税務書類を作成する機会が多く、税務知識は企業の経理部門でも役に立ちます。またクライアント企業へ提案するために助成金の知識が豊富な場合もあるので、その点も確認しておきましょう。税務や助成金の知識は企業の経理経験者にはない場合も多いので、その意味では会計事務所出身者を採用するメリットは大きいです。

自社の経理業務を理解している人が面接に参加する

業務経験とスキルレベルについては、専門性が求められる内容なので採用担当者だけで確認するのは難しい部分です。経理部の責任者など自社の経理業務を理解している人にも面接に参加してもらうなどして確認しましょう。

試験でスキルレベルを確認するのも方法

スキルレベルについて自己申告だけで判断するのはリスクもあります。嘘の申告をするとまではいかなくても、採用されたいとの思いから自分を大きく見せようとする人もいるためです。こうした場合は、仕分けや原価計算などの筆記試験を通じて確認するのも方法です。業務改善をしてほしい場合はマクロなどExcelの操作スキルをチェックするのもよいでしょう。

コミュニケーション能力や人柄を見極めるポイント

次に「コミュニケーション能力や人柄」を見極める方法やポイントを解説します。

価値観や倫理観を確かめる質問をする

価値観や倫理観を確認することで、自社の経理にふさわしい人物か、自社の理念にマッチする人物かを知ることができます。質問内容としては、たとえば「仕事でどんなときに嬉しかったですか?」「経理としてどんな思いで仕事に向き合ってきましたか?」などが考えられます。

具体的なエピソードを交えて話してもらう

求職者に質問をするときは、具体的なエピソードを交えて話してもらうようにしましょう。

たとえば「あなたはどんな性格ですか?」という質問に対し、求職者が「真面目な性格をしています」と答えた場合、「そう思う具体的なエピソードはありますか?」と掘り下げて聞いてみます。そうすることで人柄や価値観をイメージしやすくなります。

面接官の質問を的確に理解して答えられているかを見る

コミュニケーション能力については、面接官の質問を的確に理解し、それに合った回答ができているのかをチェックしましょう。自己PRなどがスムーズにできているのかは面接準備という点では大事ですが、コミュニケーションは双方向のやり取りなので、一方的に話せるだけでは判断できません。相手の質問の意図をくんで、自分の言葉にして返せているのかが重要です。

話しやすい雰囲気をつくる

求職者は面接で少なからず緊張しているので、そのせいで本来のよさや人柄の魅力を発揮できない場合があります。経理の採用面接は、スポーツの選考のように勝負強さを判断する場所ではないので、面接官の圧にも耐えうる人材かどうかを見る必要はありません。できるだけ普段の人柄が分かるように、話しやすい雰囲気をつくることも採用担当者の大事な役割です。

保有資格を採用基準にするときの考え方

続いて「保有資格」について、採用基準として設定する場合の考え方を解説します。

必須資格と尚可資格を決める

人によって採用基準にブレが生じないように、必須資格と尚可資格を決めておきましょう。必須資格は必ずいる資格、尚可資格は必須ではないもののあればさらによい資格のことです。

必須資格の最低ラインとしては、日商簿記2級(あるいは3級)を設定する企業が多いです。ビジネス会計検定や給与計算実務能力検定は合格してあって無駄になるものではないものの、これだけで経理知識や業務の客観的な証明にはなりません。日商簿記2級または3級にも合格しているかあわせて確認しましょう。

尚可資格は税理士や公認会計士など、会計系資格の中でとくに難易度が高い資格が想定されます。

資格とあわせて実務経験も確認すること

経理の資格は知識やスキルレベルの把握にある程度有効ですが、それだけではなく実務経験の確認も必須です。たとえば経理経験が長いと実務を通じてスキルを磨いてきたため、簿記は受験していないという人もいます。資格のみで判断してしまうと経験豊富な人材を逃しかねないため、簿記と同等の知識・スキルがあれば書類選考を通過させるなどゆとりをもたせておくとよいでしょう。

ミスマッチを防ぐために求人票や面接で伝えておきたいポイント

せっかく経理人材を採用できたとしても、入社後にミスマッチが生じて早期離職につながる場合があります。これでは採用担当者の苦労は水の泡ですし、早期離職者が出たという事実は既存スタッフにとってもあまり気持ちのいいものではありません。職場の雰囲気が悪くなる可能性もあるため、避けなければなりません。

採用後のミスマッチを防ぐためには、求人票や面接で以下の点をしっかりと伝えておくことが大切です。

業務内容と業務範囲

業務内容と業務範囲は、求職者と丁寧に擦り合わせておきましょう。この2つに対して理解を得られていないと「こんな業務をやらされるとは聞いていない」との不満が生じ、離職してしまうリスクがあります。

たとえば企業規模によっては経理に総務や庶務的な仕事をやってもらう場合もありますが、事前に伝えていないためにミスマッチが生じるのはよくある事例です。とくに会計事務所出身の方は自身の専門性を発揮したいとの考えが強い傾向があるので、「雑務ばかりで専門性を活かせない」と思って辞めてしまう可能性があります。

リーダーやマネジメント業務に従事してもらう可能性

リーダーやマネジメント業務に従事してもらう可能性がある場合は、確実に伝えておきましょう。

経理は職人気質的な方が多く、実務へのこだわりが強い場合があります。出世には興味がなく「ずっと実務をやっていたい」という方も少なくないので、マネジメント業務を敬遠する可能性があります。

マネジメント業務に従事する可能性を伝える際には、専門性を高めた人にしかできない仕事であるなど、その業務に対して前向きなイメージを持ってもらえるよう工夫することも大切です。

残業時間は年平均ではなく繁忙期と閑散期に分けて説明する

近年はワークライフバランスを保って働きたいと考える方が増えています。残業時間は求職者にとって事前に知っておきたい重要な情報のひとつなので、聞かれたときに答えられる準備はしておきたいところです。

残業時間の説明で大切なのは、求職者は「実態」を知りたがっているという点です。経理の残業は繁忙期と閑散期で差が激しいため、年平均を伝えてもあまり意味がありません。繁忙期は○時間くらい、閑散期は定時で帰れる日が多いなど、分けて説明しましょう。

経理の採用を成功に導く4つの重要なポイント

最後に、経理の採用で重要なポイントを4つお伝えします。

求める人物像を明確にして伝える

求職者に対し、自社が求める人物像を明確に伝えることが大切です。採用活動の初期段階では求人情報として反映させ、面接では丁寧に説明するようにしましょう。求める人物像はどんな業務をやってもらいたいのかはもちろん、人柄や価値観、期待する役割など多岐におよびます。

他社にはない自社の魅力をアピールする

経理人材はひとつの会社で専門性を極めて長く働く傾向が見られますが、それにもかかわらず転職を考えているのは今の会社や業界の将来性に不安を抱えている、給与や待遇が悪いなど現状に不満・不安があるからです。そのため企業としては求職者側の不満・不安を解決できるよう自社を魅力的に伝える必要があります。

他社にはない自社の魅力をアピールすることで、求職者に自社で働くメリットを感じてもらうことができ、選考途中での辞退や内定辞退などを回避できるでしょう。たとえば教育体制の充実や資格取得制度、時短勤務やテレワークの有無、その他福利厚生などが考えられます。職場の雰囲気がよい、既存スタッフのモチベーションが高いといった点もアピールポイントになります。

求職者のビジョンを確認する

自社が期待する役割と、本人のやりたいことが一致していないと、採用したとしても早期離職につながってしまいます。そのため、面接の際には求職者のビジョンを確認することが大切です。そのうえで、企業側として本人のビジョンを実現できるだけの環境を提供できるのかを検討しましょう。

経理に強い人材紹介会社を利用する

専門性が高く市場に経験者が少ない経理の採用は難しいため、人材紹介会社を利用するのが得策です。求める経理人材像を伝えると保有するデータベースの中から自社の希望にマッチした人材を紹介してくれます。経理採用の課題や自社に合った人材像の設定、求職者とのやり取りなど採用活動全般をサポートしてくれるため、経理の採用に課題を抱えている企業は利用を検討しましょう。

まとめ

経理の採用では、業務内容やスキルレベルのマッチ度に加えて人柄やコミュニケーション能力も見極める必要があります。また求職者に働くメリットを感じてもらえるよう、自社の魅力をアピールすることも大切です。自社に合った人材をなかなか採用できないなど悩みを抱えている場合は、人材紹介会社に相談しながら採用活動を進めることも検討してください。

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この記事の執筆者
キャリアアドバイザー
佐藤 えりな
管理部門特化の転職支援サービス『BEET』のキャリアアドバイザー。経理財務、人事労務、法務職の方の転職支援を強みをもっており。士業資格者の転職支援実績と、事業会社の両軸サポート実績多数。面談マン独度、求人マッチング精度に定評がある。