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管理部門の採用
更新日: 2023/11/20
公開日: 2023/05/19

CFO採用に苦戦する企業が多数!CFOを採用できない根本原因と打開策

CFO(最高財務責任者)は、スタートアップやベンチャー企業が上場企業になるための体制構築に不可欠なポジションです。しかし替えのきかない重要ポジションゆえに、採用の難易度が高く、採用に課題を抱える企業が多いのではないでしょうか。この記事では企業がCFO採用に苦戦する理由を整理したうえで、採用苦戦から脱却するためのポイントをお伝えします。

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公認会計士有資格、監査法人出身のCFO候補を採用可能。採用要件を丁寧にヒアリングして採用側とイメージを共有したうえで、事前面談を実施した登録者の中から適した人材を紹介。

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経理/財務リーダークラス、IPO準備経験者、証券会社対応等を経験したCFO候補の採用に強い

レックスアドバイザーズ

登録者の年代も20代~50代まで。有資格者かつ社員の年齢やカルチャーにフィットしやすいCFOを探している企業に向いています。
目次

CFO採用における課題・悩み

CFO採用における課題や採用側の悩みは、主に以下の点です。

転職市場に経験者が少ない(=応募がまったくこない)

現在、CFOを求める企業が多いうえにCFOに適任な人材は転職市場にほとんどいないため、極端な売り手市場となっています。募集をかけても応募がまったくこないというケースが多いでしょう。

CFOは欧米ではメジャーな役職ですが、日本ではまだまだ一般的とはいえません。そのため「CFO経験者」という要件を満たす人材がそもそも少ないのが現状です。また、直近でIPOを成功させたような人材であればその会社が手放したくないため、相当の報酬や地位を与えています。現職に満足しているという人も多く、転職市場に出回りません。

応募はあっても求める人材ではない

CFOというと、最高財務責任者という日本語訳から財務や経理部門のトップというイメージを持たれる場合があります。しかしCFOは資本効率を上げて企業価値の最大化を図ることが使命であり、企業の重要な意思決定に関わるポジションです。財務戦略を経営戦略に落とし込んで企業活動をマネジメントするスキルが必要で、財務・経理まわりの業務だけできればよいというものではありません。

コミュニケーションスキルやビジネスリスクを把握するための嗅覚など広範なスキルも求められます。企業が求めるハードルは非常に高いため、財務部長や経理部長等の役職経験者、公認会計士など一般的には市場価値の高い人材から応募があっても自社にフィットしないケースは少なくありません。

人材紹介会社に登録しているCFOは、どこかでIPO失敗している人が多い傾向がある

CFOを確保する際に一般的な人材紹介会社を使う企業もあるでしょう。人材紹介会社は、そのサイトに登録している求職者の中で適切な人材がいれば紹介してくれるというビジネスモデルです。

しかし人材紹介会社に登録しているCFOが必ずしもIPOの成功経験があるとは限りません。むしろ、IPOに失敗している人が多い傾向があります。というのも、IPOを成功に導いたような人材は人材紹介会社に登録しなくても、多方面から勝手に声がかかります。転職の意向があるにしても、わざわざ人材紹介会社に登録して転職活動を進める人は稀なのです。

CFOを招聘する基準として、IPOの成功経験は譲れないと考える企業は多いのではないでしょうか。しかし実際には、そのような要求をクリアしている人材を人材紹介会社から紹介してもらうのは簡単ではありません。

魅力的な条件を提示するのが難しい

どこかから評判を聞きつけ、候補者の目星が付いたとしましょう。しかし、CFOにフィットするような優秀な人材は競合が多いです。自社に来てもらうためには、事業の魅力やCEOをはじめとする経営陣の熱量はもちろん、やはり報酬面を無視することはできません。現職の環境に満足しており転職をとくに考えていない人も多いので、引き抜くには相当の報酬が必要でしょう。

CFOが重要なポジションだとはわかっていても、IPO準備企業で多額の報酬(現金)を用意するのは難しいです。

入社後に早期離職してしまう

CFOの場合、必ずしも長く勤めてもらうのが正解ではないものの、それでも成果が出るまではいてほしいと考える経営者が多いでしょう。しかしせっかく採用しても、早期に離職してしまうケースがあります。理由としてはカルチャーフィットしない、想像以上に広範の業務を任されるため業務とのミスマッチが生じたといったケースが考えられます。

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CFO人材の確保でよくある失敗パターン

CFO採用では以下のような失敗パターンに陥るケースがあります。

公認会計士や金融機関出身者であれば適任だと判断するパターン

ファイナンスの知識やIPO支援に関わった経験などを評価し、公認会計士や金融機関出身者をCFOに招聘するケースがあります。しかし、このようなスペシャリスト=CFOに適任だと判断するのは早計です。

IPO支援の経験があっても、それはいつなのか、最新のIPOトレンドを把握しているのか等の問題があります。また公認会計士は監査のプロですが、自己研鑽を積んでいない限りは経営戦略やマーケティングの知識があるわけではなく、監査法人出身の場合はコーポレート業務全般を広く積んでいるわけでもありません。保有資格や勤務先のみで判断するのは失敗のリスクがともないます。

時期尚早だと判断して人材確保が遅れるパターン

一般にCFOを必要とするのは創業期から成長期に入るステージです。創業期はまだ収益や人員規模が小さくCEOが全体を見渡せること、経営管理よりも事業部門の拡大が優先されることなどが理由です。その場合、自社でCFOを募集するのは時期尚早だと判断して人材の確保に取りかからないケースがあります。

しかし、CFO獲得の難易度を考えると、実際にCFOが必要になってから人材の確保に動くのでは遅すぎる場合があります。上場企業に求められる経営管理体制の整備や資本政策の立案・実行にかける時間を考慮すれば、できるだけ早い段階でCFOを置く必要性が高いと考えられます。

とくにIPOを目指す企業の成長スピードはすさまじいため、人材確保が遅れると上場時期も後倒しになる可能性が出てきてしまいます。

自社の人材の中からCFOを育成するパターン

人口減少・少子高齢化が続く日本ではCFOに限らず優秀な人材の確保は年々困難になってきています。そのため社外から採用するのではなく、自社の人材を活用してはどうかと考える場合もあるでしょう。自社の人材活用は人材不足の日本では理にかなっていますが、CFOにそのまま当てはめることはできません。

まず、そもそも社内に育成の対象者となる人材(CFOの素養がある人材)がいるのかが問題です。加えて、財務能力・経営企画能力・マネジメント・コミュニケーション・人事管理能力など広範の能力を身に付けてもらう必要があります。

大企業が何年もかけて多額の教育コストも投じながらこうした人材を育成するのとは異なり、中小企業やIPOを目指す企業ではノウハウや育成の時間、コストなどを理由に育成するのはかなり難しいのが現実です。また、社内の人材だとCEOに意見できる人材になりにくいのもネックです。

応募があってもCFOの採用に苦戦する理由

せっかく応募があっても、採用には至らないというケースは多々あります。それは、以下のような理由からです。

自社が求めるCFO像が明確になっていない

まず、「自社が求めるCFO像」が明確になっていないことが理由です。CFOに必要な要素は自社のステージや規模などによって異なるため、他社のCFO像がそのまま当てはまるとは限りません。自社の実態と照らし、期待する主な役割や業務は何かといった点を言語化することが重要です。

CFOポジションはその企業のTOPとの相性がとてつもなく大事

CFOは専門知識や経験以上に、CEOやほかの経営メンバーとの相性が極めて大事なポジションです。スキルや経験は申し分なくても、パーソナリティを理由に不採用となるケースは多々あります。スキル・経験・相性ともにフィットする人材を見つけるのは至難の業です。

自社への影響が強い重要ポジションなので慎重になりやすい

CFOは管理部門を統括し、財務面からの意思決定を行う重要なポジションですから、自社への影響は非常に大きいです。そのため「失敗したくない」との思いから採用を慎重になりやすく、おのずと採用要件も厳しく限定されたものになっておきます。

実際には会ってみないと分からない部分があるにもかかわらず、応募書類の段階でひとつでも懸念点があれば不採用にしてしまうというケースもあります。

割と年齢高めな方の応募が多いので、若い会社にはちょっとキツイ

応募者の傾向として、年齢が高めの方が多いため、スタートアップ・ベンチャーのように若い会社にはカルチャーフィットしない場合が多くあります。また上場前の企業はハードワークなので、年齢が高いと体力的に厳しいというケースも少なからずあります。

最高財務責任者という肩書きから、財務部長や管理部門の責任者など一般に年次が高い人が「自分に合う」とイメージしやすいポジションであるため、イメージとのギャップが生じてしまうようです。

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CFOに適した人材とは

財務面からの意思決定を行うCFOは、ファイナンスのプロフェッショナルに素養があるといえます。しかし、会計・財務の専門知識はあくまでも基本的な要素であって、それだけでCFOは務まりません。CFOの採用では会計・財務の専門知識のほかにも以下の点がポイントになります。

自社のビジョン・カルチャーに共感してもらえる

自社のビジョンやカルチャーに共感してもらえるかどうかは非常に大事です。とくにCFOを求める企業はベンチャーなど若い企業が多いため、カルチャーやビジョンが合わないといった理由で辞めてしまう人も少なくありません。ビジョンやカルチャーに共感したうえで入社してもらうことで、早期の離職を防ぐことができます。

業務遂行能力とコミュニケーション能力がある

CFOには、CEOが決定した事業戦略を現場に落とし込んで業務を遂行し、収益というかたちで成果を得ることが求められます。また、CFOはほかの経営メンバーはもちろん、金融機関や投資家など社外の人とも接する機会が多々あります。自社の事業の魅力やリターンの確度などについて説得力をもって説明する必要があるため、高いコミュニケーション能力が必要です。

適切な経営知識と幅広い法令知識がある

CFOはCEOのビジネスパートナーとして、企業価値の向上に尽力できる人材であることが必要です。ときにはCEOに対して経営判断に関するアドバイスを行うこともあるでしょう。そのため、CEOと対等に渡り合えるぐらいの経営知識や会社法、金融商品取引法などの幅広い法令知識が必要です。また上場にあたっては管理部門の整備が重要事項となるため、会計・財務の専門知識だけでなく人事・労務や個人情報などの知識も求められます。

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苦戦するCFO採用から脱却するためのポイント

ここからは、CFO採用を成功させるために何をするべきかについてお伝えします。

経営者や役員のリファラル採用を強める

CFOの採用にあたってはCEOやほかの経営メンバーとの相性が極めて重要です。そのため採用担当者だけで採用活動を進めるのではなく、経営メンバーに積極的に関わってもらう必要があります。経営メンバーの知人からビジネスで信頼できる人材を口説き落とすことができれば、自社へフィットする可能性が高まるでしょう。経営陣が採用に強く関与することで、事業の魅力や熱意を伝えやすいことも利点です。

採用要件を見直して候補者の範囲を広げる

CFO候補者に対し、「経営知識」「調整・コミュニケーション能力」「IPO経験」「上場企業での就業経験」「年齢」など多数の要件を設定している企業が多いでしょう。しかし、これらをすべて兼ね備えた人材はほとんどいません。「自社が求めるレベルに達していない」と判断するか、報酬面で挫折してしまい、結局はCFOを採用できないままになってしまいます。厳しすぎる採用要件は見直し、候補者の範囲を広げることが重要です。

ポテンシャルを見極めることも重要

CFOはビジネス経験の浅い人材に務まるポジションではありませんが、あらゆる条件を満たす人材はいないため、一定のポテンシャルを見極めることも重要になります。企業が採用要件として掲げやすいのは「上場企業での就業経験」や「IPOの成功経験」ですが、実はこれらの要件は必須ではありません。むしろ、これらの経験がない人材が上場を成功させるケースのほうが多いのが実情です。したがって、上場企業の就業経験やIPOの成功経験がなくても、まずは会ってみることが重要です。

過渡期なら社外CFOの採用という選択肢もある

必要な時期にもかかわらず報酬との兼ね合い等でどうしてもCFOを採用できない場合は、社外CFOという選択肢もあります。多額のキャッシュアウトを回避しつつも、ファイナンスと経営の知識があるCFOをアウトソーシングできます。常勤ではないので、必要な期間に必要な業務だけをピンポイントで担ってもらうかたちです。企業のステージにともなってCFOの役割も変わってくるため、過渡期であればスポットの依頼が合理的な場合があります。

いずれは社内CFOの採用が必要

上場準備が佳境に入ると業務量が膨大となり、社外CFOでは時間的に対応しきれないケースが出てきます。そのため社外CFOはあくまでも一時的なスポット利用にとどめる企業が多くなります。上場を目指すのであれば、いずれは管理部門の責任者としてCFOが必要になることを念頭に置いておきましょう。

ストックオプションの量も大事

スタートアップ・ベンチャーでは多額のキャッシュを用意できないため、その分ストックオプションで貢献に報いる場合が多くあります。CFO候補者としてもスタートアップ・ベンチャーへの転職を検討する以上、ストックオプションに期待しているケースも多いはずです。ストックオプションをどの程度付与されるかも、候補者にとっては入社の意思を固めるうえで重要なポイントとなります。

CFOを採用できない場合の採用方法

現在の採用方法でCFOを採用できない場合には、採用方法の見直しも必要です。優秀なCFO候補に確実に出会える採用方法はありません。そのため複数の採用方法を使ってコツコツと自社の認知度を高め、候補となる人と出会える確率を高めていくことが大切です。

リファラル採用

リファラル採用は自社の社員から知人を紹介してもらう方法です。候補者の経験領域や人柄、自社とのマッチング可能性などを考慮したうえでの紹介なので、成功の可能性を高められます。CFOについては、とくに経営メンバーがリファラル採用に積極的に関与することが大切です。

ダイレクトリクルーティング

ダイレクトリクルーティングは応募者を待つ従来の手法ではなく、企業が積極的に候補者を探して声をかける能動的な採用手法です。転職顕在層だけでなく転職潜在層へのアプローチも可能なので、幅広い候補者の中から自社に合いそうな人材を選ぶことができます。CFOの採用は待っているだけで適任者が応募してくれるケースは稀なので、こうした「攻め」の手法を取り入れることも重要です。

特化型エージェント

CFOなどのエグゼクティブに特化したエージェントを利用するのも方法です。エージェントに求める人材像を伝えることで、登録者の中から、あるいは市場にいる人材の中から候補者を紹介してくれます。人材探しや候補者とのやり取りだけでなく、自社の魅力を代わりに伝えてくれるため、採用の工数が負担になっている企業では検討の余地があります。公認会計士や管理部門経験者など求めるのであれば、士業や管理部門に特化したエージェントが有効な場合もあります。

ビジネスマッチングサービス

ビジネスマッチングサービスは、エグゼクティブ人材やプロフェッショナル人材などの中から自社にマッチする社外役員を紹介してくれるサービスです。上場に向けて社外役員やスポットコンサルを依頼したい場合に適しています。

まとめ

CFOの採用はもともと難易度が高いですが、採用要件が厳しすぎたりひとつの採用方法に固執したりすることで苦戦しているケースも見受けられます。採用難を打開する方法は複数ありますので、「市場に人材がいない」「報酬を用意できない」と諦めるのではなく、コツコツとできることをやっていくことが重要です。

エージェント 概要

Hi-Standard

公認会計士有資格、監査法人出身のCFO候補を採用可能。採用要件を丁寧にヒアリングして採用側とイメージを共有したうえで、事前面談を実施した登録者の中から適した人材を紹介。

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登録者の年代も20代~50代まで。有資格者かつ社員の年齢やカルチャーにフィットしやすいCFOを探している企業に向いています。
この記事の執筆者
キャリアアドバイザー
佐藤 えりな
管理部門特化の転職支援サービス『BEET』のキャリアアドバイザー。経理財務、人事労務、法務職の方の転職支援を強みをもっており。士業資格者の転職支援実績と、事業会社の両軸サポート実績多数。面談マン独度、求人マッチング精度に定評がある。