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管理部門の採用
更新日: 2023/05/19
公開日: 2023/05/19

CFO採用の重要性やメリット、難易度を解説|おすすめの採用支援サービスも紹介

CFO(Chief Financial Officer)は日本語で最高財務責任者と訳されるポジションです。中間管理職である財務部長や経理部長等とは異なり、CEOの右腕として経営に大きく関与し、リーダーシップを発揮する重要ポジションでもあります。

しかしスタッフポジションの採用と比べると、CFOの採用難易度は高いと言わざるを得ません。自社に合うCFOを採用できずに悩みを抱えている採用担当者も多いことでしょう。

この記事では、CFO採用の難しさを説明したうえで、採用方法の見直しや採用支援サービスの活用について解説します。

参考:CFO採用ならBEET-AGENT

企業がCFOを置く重要性

欧米企業と異なり、日本におけるCFOは一般的とまではいえないポジションです。そのため、そもそもCFOを採用する意味はあるのかと感じている企業もいるのではないでしょうか。まずは企業がCFOの重要性や採用するメリットについて解説します。

CFOの役割

CFOの役割は、経営メンバーの一人として企業価値の向上と財務面からの意思決定を行うことです。管理部門を統括するとともに、事業部と一緒に販売戦略や価格戦略にも関わり、利益率を上げることに力を尽くします。具体的な業務内容の一例を挙げると以下の通りです。もっとも、CFOの役割や業務範囲は企業の成長ステージや規模によって変わります。

  • 財務・経理戦略の立案および実行
  • 資金調達、資金繰り、数値管理、予算配分
  • 投資家への決算説明
  • 管理部門の統括、組織開発
  • 内部統制の構築
  • 監査法人や証券会社などの選定および渉外
  • マーケティング分析
  • 事業ポートフォリオの企画・立案 など

これらの業務を遂行するには、会計・財務の専門知識はもちろん経営に関する深い知識や幅広い法令知識、社内外を巻き込むマネジメントスキルやコミュニケーションスキルなど広範のスキルが必要です。

CFOを採用するメリット

資金調達においては投資家やベンチャーキャピタル、金融機関など複数の選択肢の中から適切な資金調達先を選定し、自社の強みを魅力的かつロジカルに伝える必要があります。さらに上場には内部統制の整備が必要となり、企業の方向性や事業戦略を踏まえたうえで適切な内部統制を構築しなければなりません。

CFOを採用することで、こうした重要業務を一気に引き受けてもらえます。管理部門や財務管理を任せられるため、CEOなどの経営メンバーが事業に集中できるでしょう。またCFOがもつ豊かな人脈を活かして、投資家の発掘や金融機関との良好な関係構築につなげてもらえます

会計・財務の知識を活かし、財務諸表などの投資家向け資料を魅力的に作成できるのもCFOを採用するメリットです。

IPOを目指す企業では必須のポジション

IPOを目指す企業では3人以上の取締役からなる取締役会の設置が求められます。この場合、営業や製造等の現場部門と、財務・経理や人事等の管理部門という少なくとも2部門を設置のうえでそれぞれに統括責任者を置くのが一般的です。現場部門はCOO(最高執行責任者)、管理部門はCFOが統括し、CEOが全体を統括します。

創業間もない企業では営業力の強化や事業の拡大が優先され、収益性も高くないため、CEOが財務や管理部門も含めて全体を見渡す場合も多いでしょう。しかし成長ステージに入ると経営環境が大きく変わります。事業へ投下するコストが急増し、数値管理や資金調達、人員管理をCEOが担うのは困難になります。

企業規模に見合ったコーポレートガバナンスの確立も必要です。そこで経営管理部門についてはCFOが統括責任者として業務をコントロールしていくことになります。

社内CFOと社外CFOの違い

CFOの採用にあたり、社外CFOという選択肢も検討中の企業があるでしょう。社内CFOと社外CFOの業務内容は基本的に同じですが、フルタイムで働けるかどうかが異なります。社内CFOはフルタイムで自社の業務に専念するのに対し、社外CFOは期間や業務範囲を限定して業務を担ってもらいます。

創業間もない時期などCFOの貢献機会が少ない時期では、社外CFOのスポット利用でコストを抑えることが可能です。しかし担当できる業務量やガバナンスの強化といった観点からは、いずれは社内CFOを採用する必要性が高いでしょう。

CFOを求める企業の現状

ここで、CFOを求める企業の状況を確認してみましょう。

CFOを求める企業は多い

企業の資金調達はバブル経済の崩壊をきっかけに難易度が上がり、資金調達担当者は財務状況に加えて事業の成長性や競合との優位性などを含めて説明できる力が求められるようになりました。また2021年のIPO社数は前年から32社増、14年ぶりに100社を超えるなど、IPOの件数は増加傾向にあります。
※参考:帝国データバンク| 2021年のIPO動向

こうした社会情勢を背景に、CFOの重要性を認識する企業が増え、優秀なCFOは企業間での取り合いになっています。

自社での育成は負担が大きい

CFOは極端な売り手市場であることから、自社での育成も選択肢にあがります。生え抜きの人材であれば事業への理解度や人柄等の信頼性が高く、育成にもメリットはあるといえます。しかし会計・財務の専門性に加えて幅広い法令知識や交渉力・コミュニケーション能力など多様な能力を必要とするCFOを自社で育成するには膨大な時間とコストがかかります。

CFOを獲得するには外部採用が現実的

自社での育成を検討したものの、CFOの育成ノウハウがない、育成の時間やコストがないなどの理由で外部採用に落ち着く企業が多いのが現状です。とくにIPO準備企業においてCFOを自社で育成するのは負担が大きすぎるため、外部採用が現実的な方法といえるでしょう。

CFOの採用難易度が高い理由

CFOの採用に苦戦する企業は非常に多いです。CFOの採用はなぜ難易度が高いのか、その理由を整理してみましょう。そうすることで、自社のCFO採用における課題が見えてくる可能性があります。

要求水準が高いため市場にフィットする人材がいない

まず、CFOに対する要求水準を非常に高く設定していると、自社が求める水準に達している人材に出会うことは困難です。転職サイト等の求人情報をもとに企業がCFOに求めている要件を整理したところ、以下のような要件を設定している企業が多いようです。

  • 事業会社における財務・経理部門での管理職やマネジメント経験
  • 上場企業における財務・管理部門での実務経験
  • 事業会社でのCFO経験
  • 資金管理・資金調達の経験
  • 経営知識
  • ビジネスレベルでの英語力
  • IPOの成功経験または準備経験

いずれもCFO候補者への要求として間違っていないようにも思えますが、上記をすべて満たすような人材を求めていないでしょうか。そのようなパーフェクトな人材に出会える可能性は非常に低いため、採用難易度は一気に上がってしまいます。また、とくに「事業会社でのCFO経験」や「IPOの成功経験または準備経験」を優先事項にあげていると要件を満たす人材が極端に減ってしまいます。

どんな人材がCFOになっているのか

CFOには多様な能力やスキルが求められますが、会計・財務まわりの知識や経験を前提条件とすることから、以下のような経歴の人を招聘するケースが多いです。

  • 公認会計士や税理士などの有資格者
  • 銀行や証券会社などの金融機関出身者
  • 事業会社の財務部や経営企画部経験者
  • コンサルティングファーム出身者
  • PEファンドやベンチャーキャピタル出身者

もちろん上記の要件を満たすだけで自社にマッチするわけではありません。経営メンバーとの相性やカルチャーフィット、コミュニケーション能力なども含めて判断する必要があります。

採用コストが高い

採用コストには人材紹介会社への成功報酬や採用管理ツールの月額料金、採用担当者の人件費などがあります。採用担当者の人件費については、CFOの採用はCEO自身が活動する場合も多く、採用担当者が行う場合は給与に含まれるため正確な計算は困難です。

CFO採用の場合、人材紹介会社への成功報酬が大きな負担になるケースが多いでしょう。一般に人材紹介会社の成功報酬は「理論上の年収×○%」で計算され、平均的なエージェントは30%~35%程度の料率を設定しています。

想定年収が高ければ採用コストも高くなるため、経営層であるCFOは年収が高い分採用コストも上がることになります。またCFOを紹介してもらえるようなハイクラス人材に特化したエージェントだと、料率が40%以上になることも珍しくありません

求人情報などを見る限り、CFOの想定年収は700万~1,200万円です。仮に想定年収が1,000万円で料率が40%だと400万円です。CFOを採用するには決して安くないコストが必要であるため、採用難易度を上げる要因になっています。

重要ポジションがゆえに焦って採用しやすい

CFOを置く重要性を理解しながらもなかなか採用活動がうまくいかないと、採用担当者の焦りにつながります。すると、たまたま現れた候補者の優秀な経歴のみに反応し、慌てて決めてしまう場合があります。CFOはスキルや経験、能力だけでなく自社のビジョンやカルチャー、経営メンバーとの相性などが非常に重要なポジションです。

こうした点を無視して経歴重視で採用してしまうと、ミスマッチの原因となって早期の離職につながりやすく、結局は採用が失敗だったということになります。重要なポジションがゆえに焦って失敗するケースが多いという難しさもあるのです。

CFOの採用方法は大きく分けて3つ

CFOの採用がうまくいかないのなら、採用方法を見直すのも有効な方法です。CFO採用の方法は大きく分けて「人脈の活用」「ダイレクトリクルーティング」「エージェント」の3つです。

人脈を頼りにした採用

経営メンバーや自社スタッフの知人などの中から、自社に合いそうな人材を紹介してもらう方法です。リファラル採用と呼ばれ、自社と候補者双方をよく知る人からの紹介であるため、マッチングの精度や定着率が高い方法です。自社採用なので採用コストを低く抑えられるのもメリットです。

CFOの採用では経営メンバーとの相性が重要なので、経営メンバーのリファラル採用を強めることでフィットする人材を獲得できる可能性が高まります。

しかし自社に合いそうな人材の知り合いがいない、いても口説き落とせない場合には、その時点で使えない方法となってしまいます。

ダイレクトリクルーティング

候補者に対し、企業が直接アプローチする採用方法です。求人広告を掲載して応募者を待つという「待ち」の採用方法ではなく、企業自らが能動的に候補者を探して声をかける「攻め」の採用方法だといわれています。

一般的なエージェントや求人サイトに登録している求職者と異なり、ダイレクトリクルーティングサービスの登録者には転職を急いでいない「転職潜在層」も含まれます。そのため幅広い層の中から候補者を探すことができるのがメリットです。

また、企業側がよいと感じた人材に声をかけるため、応募者を待つ従来型の方法のように希望と異なる人材からの応募に対応する必要はありません。一方、スカウト対象者の選定やスカウトメールの送信、その後のやり取りなどはすべて自社で行うため採用担当者の業務負荷が大きいのがネックです。

エグゼクティブに強いエージェント

エージェントに自社の希望や採用要件を伝えておき、エージェントに候補者を探して紹介してもらう方法です。CFO採用の場合はエグゼクティブやハイクラス人材に強いエージェントを使うのがよいでしょう。登録者の質が高いためCFO候補者となり得る人材に出会いやすいです

エージェントを使った場合のメリットは自社で候補者探しや選考までのやり取りをする必要がないため、採用活動の工数を大幅に削減できる点です。また、自社の魅力を客観的な視点から候補者に伝えてくれるため候補者の入社意欲が上がりやすい、非公開求人を使って非公開で採用活動を進められるといったメリットもあります。

難点は成功報酬が高くなりがちな点です。しかし初期費用や求人広告を掲載し続ける費用は不要なので、費用対効果は高いといえます。

CFO採用におすすめのサービス

最後に、CFOの採用を検討中の企業におすすめの採用支援サービスを紹介します。

Hi-Standard公認会計士

会計・財務・経理人材の採用に特化した人材紹介エージェントです。公認会計士や税理士などの有資格者や経理・財務畑での経験豊富な人材紹介に強みがあるため、CFO採用に適しています。大手監査法人出身者や社外監査役経験者などの希少な人材やポテンシャルのある若手キャリア層の人材にも対応しています。
公式サイト:https://hi-standard.pro/cpa/recruitment/

BEET-AGENT

経営管理・財務・CFO人材の採用に特化した、管理部門専門の人材紹介エージェントです。IPO準備経験者や公認会計士、弁護士などの有資格者などの人材プールが多く、CFO採用にも強みを持っています。

公式サイト:https://beet-agent.com/recruitment/

リクルートエグゼクティブエージェント

人材紹介大手リクルートが運営するエグゼクティブ特化型のエージェントです。日本最大級の人材ネットワークを持つのが強みで、経営層・エグゼクティブ人材や専門技能をもつスペシャリストを紹介しています。成功報酬型の人材紹介と前払い型のリテーナーサーチの2種類があります。
※参考:リクルートエグゼクティブエージェント

パーソルキャリアエグゼクティブエージェント

総合人材サービスグループのパーソルが提供する、エグゼクティブポジション専門の人材紹介サービスです。業界・職種に精通したコンサルタントが経営課題やカルチャーを理解したうえで、成長ステージに合った最適な人材を紹介しています。
※参考:パーソルキャリアエグゼクティブエージェント

JAC Executive

JAC Recruitmentが提供するエグゼクティブポジション特化型のサービスブランドです。世界10カ国のグローバルネットワークを活かした人材紹介が強みで、グローバルビジネス経験のあるエグゼクティブの紹介が受けられます。
※参考:JAC Executive

パソナキャリア

ハイクラス人材の採用支援に特化したエージェントサービスです。事業部長やマネージャークラス、経営幹部層の採用に強みがあります。ハイクラス特化型の転職サイトやエグゼクティブサーチ専門のパソナJOBHUBのネットワークを活用しており、一般的な採用活動ではなかなか出会でない候補者も紹介してもらうことができます。
※参考:パソナキャリア

クライス&カンパニー

経営幹部人材の採用支援に特化した人材紹介会社です。経営幹部の人材紹介で30年の実績がある老舗なので、人材データベースの量やコンサルティング力は申し分なく、独自ルートによる優秀な人材の発掘も行っています。経営にインパクトを与えられる経営層を探している企業におすすめです。
※参考:クライス&カンパニー

ヤマトヒューマンキャピタル

スタートアップやベンチャー企業の経営幹部、幹部候補の採用支援に強みをもつ人材紹介会社です。コンサルタントがPEファンドや投資銀行、コンサルティングファーム出身者などで構成されているため、業界内のネットワークを活かして採用ハードルの高い人材もスピーディに紹介できるのが強みです。
※参考:ヤマトヒューマンキャピタル

ビズリーチ

ハイクラス人材を対象としたスカウト型の採用サービスです。全国170万人以上という国内最大級の人材データベースの中から、企業が採用したい人材を探してスカウトできます。エージェントサービスと異なり転職潜在層にもアプローチできるため、幅広い層から探したい企業に向いています。
※参考:ビズリーチ

まとめ

資金調達の難易度やIPO社数の上昇などから、CFOを求める企業は増えています。しかし自社育成は難しい面が大きく、採用を進めるしかないという企業も多いでしょう。採用方法の見直しや採用を支援してくれる外部サービスの利用なども検討し、自社にマッチしたCFOの獲得につなげてください。
CFO採用ならBEET-AGENT

この記事の執筆者
キャリアアドバイザー
佐藤 えりな
管理部門特化の転職支援サービス『BEET』のキャリアアドバイザー。経理財務、人事労務、法務職の方の転職支援を強みをもっており。士業資格者の転職支援実績と、事業会社の両軸サポート実績多数。面談マン独度、求人マッチング精度に定評がある。