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管理部門の採用
更新日: 2023/05/19
公開日: 2023/05/19

企業がUSCPAを採用するメリットやおすすめ人材紹介会社3選

USCPA(米国公認会計士)とは、会計・財務などの基本的な能力があることを米国公認会計士協会が証明する会計士資格です。近年はBIG4監査法人やグローバル企業などで積極的にUSCPAホルダーの採用を進めており、経済のグローバル化が進む中で価値を高めている資格でもあります。

とはいえ「国内公認会計士よりも会計知識が少ない」「国内公認会計士と何が違うのかよく分からない」といった声もあり、採用担当者としてはどのように評価してよいのか悩む場面があるかもしれません。そこでこの記事では、企業や法人がUSCPAを採用するメリットや選考時の評価ポイント、採用する際の注意点などについて解説します。

USCPAを採用したい法人や企業が増えている背景

近年、公認会計士だけでなくUSCPAの評価が高まっており、USCPAホルダーを歓迎する求人が多く見られるようになりました。会計士不足や企業のグローバル化などが理由です。

USCPAホルダーの歓迎求人は多い

会計・財務部門や経営企画職などの求人を見ると、公認会計士と並んで目立つのはUSCPAホルダーです。監査法人や事業会社、コンサルティングファーム、金融機関などでUSCPAホルダーを歓迎する求人が多数あります。USCPAに対する企業側のニーズが高いことがわかります。

会計士不足でUSCPAにまで対象が広がった

公認会計士試験の合格者数は毎年1300人程度で推移しているものの、日本国内では公認会計士不足が指摘されています。理由としては高齢になった会計士の引退や人口減・少子化による母数の減少、公認会計士のキャリアの多様化などが挙げられます。とくに英語力があり国際業務に携われる公認会計士は人手が不足しています。

こうした背景から、会計・経理・財務領域、とくに国際業務に対応できる人材を求める際に公認会計士のみを対象にすると人が集まりにくくなっています。公認会計士だけでなくUSCPAにまで範囲を広げて募集をかけるケースが増えているのです。

国際財務報告基準(IFRS)の導入

経済活動のグローバル化を受けて、世界的にIFRSの強制適用が進んでいます。日本では任意適用にとどまっているものの、対象企業はIFRSに基づいた「収益認識に関する会計基準」の適用が必要です。また政府が導入を促進していることもあり、IFRSを導入する国内企業が増えています。

USCPAの試験では2011年以降IFRSに関する問題が取り入れられており、試験勉強を通じて一定の知識を得ることができます。また英語ができればIFRSの原文も読めるため、さらに深く知識を得ることも可能です。実務で通用する英語力とも相まってUSCPAのニーズが高まっています。

世界的に認知された公認会計士資格

USCPAはアメリカの資格ですが、世界150ヵ国以上、約40万人が取得している世界的に認知度が高い資格です。ひと昔前までは、日本では公認会計士しか知られていませんでしたが、近年は日本での認知度も上がってきており評価する企業が増えてきています。

USCPAホルダーを採用するメリット

企業がUSCPAホルダーを採用するメリットは以下のような点にあります。

国際的な会計基準へ理解がある

海外と取引がある企業では国際的な会計基準への理解が求められます。USCPAは海外の会計基準を理解できる能力があることの証明になるため、IFRSに関する知識や実務能力がある人を採用したい企業にはメリットがあります。

英語で会計実務にあたれる人材を獲得できる

英語力の証明については、TOEICなどの客観的指標はありますが、会計分野での英語力に特化しているわけではありません。しかしUSCPAなら会計実務を英語でこなせることの客観的証明になります。グローバル化により国内企業でも英語で会計実務ができるスキルが求められています。USCPAホルダーを獲得することにより、企業は英語で会計実務にあたれる人材を確保できます。

他業界での経験を活かしてもらえる

公認会計士は監査法人からキャリアをスタートさせるのが一般的なので、監査法人での経験しかないという公認会計士が応募してくることは多々あります。しかし、事業会社では監査法人のみの経験では難しいという場面が少なくありません。

一方、USCPAは一般企業の経理・財務の人材などがスキルアップのために取得するケースが多くあります。「公認会計士になりたいわけではないけど会計の流れを理解できるし英語力も身につく」という理由でUSCPAを取得するようなケースです。そうした人材は、監査法人の経験しかない国内公認会計士よりも幅広い経験を有している場合があり、他業界での知見を自社で活かしてもらうことができます。

USCPA試験をクリアするための努力ができる人材

「努力」というのはひとつのスキルであって、練習や経験を重ねることで伸ばすことができます。しかし社会人になると忙しさなどからこのスキルを磨かない人も多いのではないでしょうか。応募者が難易度の高いUSCPA試験をクリアしたことは、まさに努力の結果であり、向上心の表れでもあります。

USCPAに合格するまでにはさまざまな苦労があったはずで、努力や創意工夫、セルフマネジメントなどによってその苦労を乗り越えたからこそ合格に至ったのでしょう。こうした人材は、努力するスキルが磨かれているので、仕事で困難な場面にぶつかったときでも努力や工夫によって乗り越えようとしてくれます。予測困難なVUCA時代において、このような人材を得るメリットは大きいでしょう。

グローバル企業や外資系企業ではメリットが大きい

USCPAは世界的に認知された会計士資格であり、会計分野のビジネス英語が身についている証でもあります。そのためグローバルな取引のある企業や海外展開している企業、外資系企業などでは採用するメリットが大きいといえます。実際、こうした企業やコンサルティングファーム、監査法人などではUSCPAホルダーを積極的に採用しています。

USCPAホルダーを採用する前に知っておくべき注意点

会計・財務・経理領域での採用にあたっては、国内公認会計士を採用するか、USCPAホルダーを採用するか迷う場面があるかもしれません。国内公認会計士とUSCPAの両方に合格している人材であればとくに問題はありませんが、USCPAのみに合格した人材を採用する際には以下の点に注意が必要です。

国内公認会計士に比べると会計知識が見劣りする場合がある

USCPAは難易度が高く、必要な勉強時間は1,000時間とも2,000時間とも言われています。働きながら取得する人が多いですが、それには相当の努力が必要で決して簡単な資格ではありません。

しかし、それでも一般的には国内公認会計士試験よりは難易度が低いとされています。理由はいくつかありますが、そもそもアメリカの資格制度が資格取得後も自己研鑽でレベルアップしていくことを想定しているため、USCPA試験は浅く広い知識を求められる内容になっています。これに対して国内公認会計士試験は広くて深い知識を求められます。また国内公認会計士試験は年に1回のみしか受験できませんが、USCPAは複数回受験できます。

「そうはいってもUSCPAホルダーなのだから会計の知識は豊富だろう」と考える採用担当者もいるかもしれません。もちろん、USCPAで基本的な会計知識は身につきますし、加えて実務経験があれば問題ないでしょう。しかし実務経験がないUSCPAホルダーの場合、会計知識についてはそれほど期待しない、というスタンスも大事になってきます。そうすることで会計知識以外の面を観察することができ、ミスマッチを防ぎやすくなります。

業務未経験の場合がある

国内公認会計士の場合、資格取得後に2年以上の実務経験を積むことで公認会計士として登録できます。そのため、公認会計士であれば少なくとも2年間は現場で実務を積んでいることが明らかです。

一方、USCPAもアメリカでライセンスを取得して独占業務を行うためには基本的には実務経験が必要ですが、日本で働くのでライセンスを取得する必要性を感じないという人もいます。「仕事で会計知識や英語力を証明したいから受験した」「自己研鑽のために受験した」という人材の場合、業務経験がない可能性もあります。業務未経験の場合、知識はあっても即戦力として活躍してもらうのは難しいため、自社での教育体制は整っているのか等も考慮して採用する必要があります。

監査報告書にサインできない

USCPAは日本では公認会計士登録ができないため、監査報告書にサインすることもできません。監査業務を行うことはできますが、あくまでも監査補助者として国内公認会計士の主査の下で業務にあたることになります。この点は日本の公認会計士資格保有者との大きな違いです。

もっとも、監査業務を求めるのは基本的に監査法人でしょうし、監査法人は国内公認会計士が大半を占めるので主査を務められる人材に困ることはありません。またUSCPAを採用したい企業は一般企業も多いので、公認会計士登録できなくても問題になることは少ないでしょう。

あくまでも付加価値的な要素が強い資格だと認識する

USCPAは難易度の高い立派な資格ですし、市場での評価も高まっています。英語力の証明や努力できる人材であることの証明にはなるため、採用するメリットは十分にあります。しかしあくまでも資格は資格であって、実務経験があることでこそ真価を発揮します。採用担当者としては、USCPAは付加価値的な要素が強いものだと思っておくのがよいでしょう。

USCPAホルダーを採用する際のポイント

企業がUSCPAホルダーを選考する際には以下の点が評価のポイントになります。

実務経験または希望職種に近い経験があるか

USCPAホルダーに加えて希望職種の実務経験があれば、知識や経験値の点からは十分評価に値します。実務経験がない場合でも、希望職種の業務に近い経験があれば評価の対象になります。たとえばコンサルタントを希望する場合に、コンサルタントの経験はないけれど事業会社の経営企画で事業戦略やマーケティング戦略等に関わっていた経験があるといったケースです。

いずれにしても中途採用でまず重視されるのは業務の経験です。即戦力を求める企業であれば譲れないポイントでしょう。

未経験の場合はポテンシャルがあるか

USCPAホルダーの場合、基本的な会計知識と英語力があるのは明らかなので、その点では未経験者とはいえほかの応募者よりも優位性が高くなる場合はあるでしょう。実務経験も類似業務の経験もない、もしくは経験と評価するには物足りないUSCPAホルダーの場合、ポテンシャルがポイントになります。日本企業の人材不足は今後も続くと予想されるため、中途採用においてもポテンシャル枠を設けて幅広く応募者を見極める企業も見られます。

ポテンシャル採用では、人物特性(ストレス耐性・素直さ・真面目さ等)やキャリアビジョンなどが重要です。また、成長性という意味ではやはり年齢が若いかどうかもひとつのポイントになります。

資格以外に採用するメリットがあるか

公認会計士資格があれば日本での独占業務ができますし、会計知識は申し分ないため、業務内容にフィットするのなら資格だけでも採用するメリットは大きいかもしれません。一方、USCPAは公認会計士と比べて資格自体に大きなメリットがあるわけではないため、その他の部分が重要です。業務経験や人物特性、カルチャーフィットなど多方面から観察し、自社に貢献してくれる人材かどうかを見極めましょう。

USCPAの勉強を通じてどんな成長があったか

USCPAは採用を決定づけるほどの絶対的な評価項目にはなりませんが、勉強を通じてどんな成長があったのかを知ることで、その人の本質が見えてくる場合があります。応募者がUSCPAの勉強でした工夫は何か、その工夫を現職でどのように活かしたのかなどを質問してみるとよいでしょう。たとえば勉強を効率化する方法を仕事の効率化に流用した、勉強が精神的に辛いときに突破した考え方を仕事面でも活かしているなど、何かしらの成長があったかもしれません。

USCPAの採用に悩んだときに相談するべきエージェント

企業のグローバル化が進む中で「国際的な会計実務に対応できる人材を採用したい」「USCPAホルダーからの応募があるがマッチする人材がいない」など、USCPAの採用で悩む採用担当者もいることでしょう。その場合、会計業界や公認会計士・USCPAに精通した転職エージェントへの相談が有効です。業界事情や業務内容への理解が深いため的確なアドバイスを受けることができ、企業の希望にマッチした人材を紹介してもらえます。

Hi Standard公認会計士

公認会計士・税理士・経理人材の紹介に特化したエージェントです。2020年4月にサービスを開始してから公認会計士に強いエージェントとして認知度を上げている勢いのあるエージェントです。

Hi Standard公認会計士は、公認会計士やUSCPAなどの有資格者はもちろん、大手監査法人出身者や会計実務経験者など経験者の採用支援に強みがあります。即時紹介できるプロフェッショナル人材が200名以上いるためスピーディな採用も可能です。キャリアアドバイザーは企業の採用担当者から採用課題を丁寧にヒアリングし、求める人材像を明確にしていきます。求職者との事前面談も必ず行うため、採用のミスマッチが少ないのが魅力です。
公式サイト:https://hi-standard.pro/cpa/recruitment/

マイナビ会計士

公認会計士・USCPAに特化した人材紹介サービスです。運営元のマイナビは新卒領域に強いエージェントということもあり、マイナビ会計士も若手を中心とした採用支援に強みがあります。年齢別の登録者は20代が35%、30代が45%と若手有資格者が全体の80%を占めます。ポテンシャルにも期待できる若手会計士を探している企業におすすめです。会計士業界に精通した専門アドバイザーが採用をサポートしてくれます。
※参考:マイナビ会計士

MS-Japan

管理部門・士業に特化したエージェントです。公認会計士専門ではありませんが、経理・財務・人事・総務等の管理部門や公認会計士・USCPA・税理士などの士業、金融専門職やコンサルタントなど実務経験者の採用支援に強みがあります。特化型のエージェントとして30年もの実績がある老舗なので、豊富な採用ノウハウがあり、登録者も多いのが魅力です。登録者の年齢層も若手から40代のマネージャー・管理職クラスまで幅広いので、企業の多様なニーズに対応してもらえます。
※参考:MS-Japan

ジャスネットキャリア

会計、税務、経理・財務分野での採用に特化したエージェントです。公認会計士が創業したエージェントなので会計士業界でのネットワークとノウハウが豊富にあり、求職者からの認知度も高いです。会計プロフェッショナルの登録者数は業界トップクラスを誇ります。

登録者の経験職種は約60%が経理・財務なので、経理・財務部での経験者を探している企業に適しています。年齢層はどの世代もまんべんなくいるため、自社にフィットする人材を紹介してもらいやすいでしょう。
※参考:ジャスネットキャリア

まとめ

USCPAは日本国内で業務にあたってもらう限り、あくまでも付加価値的な要素が大きい資格です。しかしUSCPAホルダーには基本的な会計知識と英語力があるため、とくに会計領域で国際業務に対応できる人材を探している企業に採用メリットが大きいでしょう。

この記事の執筆者
キャリアアドバイザー
佐藤 えりな
管理部門特化の転職支援サービス『BEET』のキャリアアドバイザー。経理財務、人事労務、法務職の方の転職支援を強みをもっており。士業資格者の転職支援実績と、事業会社の両軸サポート実績多数。面談マン独度、求人マッチング精度に定評がある。